2017年 歯科医師国家試験問題から(微生物・免疫学分野)
2017年 平成29年に実施された、第110回歯科医師国家試験から、微生物学と免疫学の問題を抜粋し、コメントします。
<感想>
- 初めてざっと見た時は、特に目新しい問題もなく退屈に思えたが、基本事項の理解が重要な問題が増えているという傾向を感じる。
- 過去問を研究して、基礎知識・周辺知識を整理することが重要。
- 暗記に頼るのではなく、「そもそもこれってどういうこと?」を意識できているかを試されるような問題が増えている気がする。
A問題
110A1 細菌の細胞壁分解能を有するのはどれか。1つ選べ。
a アミラーゼ
b リゾチーム
c デイフェンシン
d ラクトフェリン
e ペルオキシダーゼ
細菌の細胞壁の主な成分は何か、そもそも答えられますか?
ペプチドグリカンです。
ペグチドグリカンの、N-アセチルグルコサミンNAG とN-アセチルムラミン酸NAMの間の結合を切断する酵素がリゾチームです。粘液、唾液、涙、母乳などに分泌されます。卵白にも多く含まれています。
110A5 節足動物が媒介する感染症の病原体はどれか。1つ選べ。
a ノロウイルス
b 狂犬病ウイルス
c デングウイルス
d B型肝炎ウイルス
e インフルエンザウイルス
節足動物には蚊などの昆虫やダニ・クモが含まれますが、蚊が媒介する感染症として近年話題になったのが、デング熱です。通常輸入感染症として海外で感染した人が国内で発症するとされていましたが、数年前には国内で感染が発生した事が騒ぎになりました。病原体はデングウイルスです。病原体と媒介動物の違いを理解しましょう。
蚊が媒介する感染症としては、他にマラリアが有名です。こちらはマラリア原虫が病原体です。
110A9 好中球の貧食活性を高めるのはどれか。1つ選べ。
a IgA
b IgD
c IgE
d IgG
e IgM
食細胞による貪食を促進する効果をオプソニン効果といいます。ギリシャ語でオプソンopsonとは、主食の他のおかずを指すそうです。ふりかけをイメージしたほうがいいかもしれませんが、病原体にオプソニン効果のある成分がかかっていると、食細胞にとって、とっても美味しそうに見えるわけです。補体や、免疫グロブリンではIgGにこの作用があります。実際のところは貪食細胞は、補体レセプターやFcレセプターによって、病原体に張り付いたこれらの成分を認識し、貪食します。
110A10 Avoiding the frequent intake of fermentable carbohydrates,especially sucrose,in diets is important for the ( ) of early childhood caries.
( )に入るのはどれか。1つ選べ。
a treatment
b prevention
c restoration
d development
e decalcification
歯科国試では、英文の問題が必ずひとつ出題されています。基本的ですが、正解率はそんなに高くなく、必修問題であれば合否を左右すると言えます。日頃から、少し英語を意識しているといいでしょう。
110A14 ABO式血液型検査に用いられる反応はどれか。1つ選べ。
a 凝集反応
b 中和反応
c 沈降反応
d 溶解反応
e 補体結合反応
例えば、A型の赤血球にはA抗原が存在し、B抗原は存在しません。そこに抗A抗体をかけると肉眼で分かる凝集が起こります。抗B抗体では起こりません。これにより血液型を判定します。
110A15 全身性の発疹を引き起こす病原体はどれか。1つ選べ。
a EBウイルス
b 麻疹ウイルス
c ロタウイルス
d ムンプスウイルス
(問題としては適切だが、必修問題としては妥当ではないため除外、とされた問題)
多くのウイルスは、感染する相手の細胞が決まっています。これを臓器親和性などと言います。一部のウイルスは、全身に感染することが知られています。麻疹ウイルスが代表です。
来年あたりは、どこに感染するか?という問題がでるかも??
110A17 スタンダードプレコーションで感染性物質として扱わないのはどれか。1つ選ベ。
a 汗
b 涙
c 喀痰
d 唾液
e 鼻汁
汗以外の全ての体液を対象とします。
110A25 放線菌感染で菌塊周囲に多くみられるのはどれか。1つ選べ。
a 好酸球
b 好中球
c 好塩基球
d 肥満細胞
e リンパ球
110A32 ミュータンスレンサ球菌の合成する不溶性グルカンの構成単位はどれか。1つ選べ。
a グルコース
b スクロース
c ガラクトース
d グルコサミン
e フルクトース
グルカンというのは、グルコースの重合体です。繋がり方によって、様々な種類があります。来年はつながり方の問題がでるかも?
110A63 減数分裂がみられる分化過程はどれか。1つ選べ。
a 赤芽球から赤血球
b 精母細胞から精娘細胞
c 前骨芽細胞から骨芽細胞
d 歯乳頭細胞から象牙芽細胞
e 内エナメル上皮細胞からエナメル芽細胞
減数分裂は生殖細胞をつくる過程で起こります。ヒトの場合、染色体数が23対46本から、23本に減ります。こうしてできた精子や卵子といった配偶子が受精して、元の数に戻るわけです。他の選択肢は全て体細胞分裂で、減数は起こりません。
110A71 アシクロビルが奏効するのはどれか。1つ選べ。
a 麻疹
b C型肝炎
c 感染性胃腸炎
d 口唇ヘルペス
e 成人T細胞白血病
これは基本的な知識です。そろそろもう少し突っ込んだことを聞かれるかもしれません。なぜ、アシクロビルはウイルス感染細胞のDNA複製を選択的に阻害するのか?とか。これはチロシンキナーゼがポイントです。
110A73 先天性梅毒患者の臼歯部に生じるのはどれか。1つ選べ。
a 歯内歯
b Turner歯
c Fournier歯
d タウロドント
e Hutchinson歯
へー
79 ウイルスが原因の悪性腫瘍はどれか。2つ選べ。
a 乳頭腫
b 悪性黒色腫
c Burkittリンパ腫
d 慢性骨髄性白血病
e 成人T細胞白血病
これは知っておきましょう。
110A99 核酸合成過程の代謝措抗によって抗腫蕩作用を示すのはどれか。2つ選べ。
a 5-FU
b ゲフィチニブ
c セツキシマブ
d メトトレキサート
e ドセタキセル水和物
核酸ぽい名前です。5フルオロウラシルということで、ウラシルの5位の炭素Cに、フッ素Fがついているのかな、と想像されます。こういう核酸の類似体が混じっていると、核酸の合成がうまくできないと考えます。
マブmAbは普通、抗体monoclonal antibody を表します。マブで終わるのは、抗体薬品だと想像ができます。
110A108 父娘関係の鑑定に用いられるのはどれか。1つ選べ。
a X染色体DNA
b Y染色体DNA
e ミトコンドリアDNA
XYとXX。ミトコンドリアは母系に遺伝する(卵子のミトコンドリアが受精卵に受け継がれる。精子にミトコンドリアがないわけではないが、受精卵には受け継がれないそうだ。その仕組については、面白そうだけど知りません)。
他の選択肢は、生物の系統を解析するのに使われたりするが、同種内では大きく違わないので、親子関係の判定には向かない。
110A120 血中βーグルカン値が診断に用いられるのはどれか。1つ選べ。
a B型肝炎
b 帯状疱疹
c 深在性真菌症
e 化膿レンサ球菌感染症
これぞ、過去問の研究が問われている問題。
C問題
110C2 単一遺伝子病に関連するのはどれか。1つ選べ。
a 染色体数の異常
b メンデル遺伝形式
c 常染色体の構造異常
d 性染色体の構造異常
e 胎生期ウイルス感染
(問題としては適切だが、必修問題としては妥当ではないため、除外された問題)
染色体の数や構造の以上は、多くの遺伝子が影響を受けると考える。単一遺伝子の遺伝は、メンデルの法則に従う。ウイルス感染は遺伝子病ではない。
110C10 Actinomyces viscosusの特徴はどれか。1つ選べ。
a 芽胞形成能
b 線毛の存在
c 偏性嫌気性
d 黒色色素産生性
e リポ多糖の存在
(問題としては適切だが、必修問題としては妥当ではないため、除外)
まず、Actinomyces属はグラム陽性の桿菌です。
おさえておかなければいけない基本事項は、、
芽胞形成するのは、Baccilus属と Clostridium属。
黒色色素産生は、Porphyromonas属や Prevotella属の歯周病原菌が代表的。
リポ多糖(LPS)は、グラム陰性菌が持つもの。
残るはbとcですが、多くのActinomces属は通性嫌気性なので、正解は、bなのかな?たぶん、、
110C16 B型肝炎ウイルスの感染予防に有効な消毒薬はどれか。1つ選べ。
a ポビドンヨード
b 消毒用エタノール
c 塩化ベンザルコニウム
e グルコン酸クロルヘキシジン
B型肝炎ウイルスって、病原体の中でも消毒に対する抵抗性が強い部類のようです。この中でB型肝炎に有効とされるのは、、、?
110C20 F. Crickとともに図に示すモデルを提唱したのはどれか。1つ選べ。
a P. Curie
b K. Mullis
c J. Watson
d F. Sanger
e W. Gilbert
これは一般常識的な有名人です。DNAの二重らせん中の相補的な塩基対のことを、「ワトソン-クリック塩基対」と言ったりもします。
110C24 院内感染対策で正しいのはどれか。1つ選べ。
a 外国感染は対象としない。
b 病院スタッフは対象外である。
c 消毒・滅菌は対策の一つである。
d 抗菌薬の使用方法とは無関係である。
e 一般社会環境と同様の対策をとることが望ましい。
院内で感染を拡大させないために必要なことは??と考えれば正解できそうです。病院スタッフも対象となります。
eについては、院内には高齢者などの易感染性宿主も居ますので、一般環境と同じという訳にはいかないと考えます。
d 抗菌薬の乱用により、耐性菌が増加・感染拡大する危険があるので、無関係ではありません。
110C57 手足口病の病原体はどれか。1つ選べ。
a アデノウイルス
b エンテロウイルス
c 単純疱疹ウイルス
d ムンプスウイルス
e 水痘・帯状疱疹ウイルス
これは基本的な知識です。
110C61 正常組織像(別冊No.11)を別に示す。Sjögren症候群と関連するのはどれか。1つ選べ。
a ア
b イ
c ウ
d エ
e オ
唾液腺ってことでしょうか?
110C72 自己抗体が関与するのはどれか。1つ選べ。
a 2型糖尿病
b 重症筋無力症
c 接触性皮膚炎
d DiGeorge症候群
e 重症複合免疫不全症
(アレルギー性)接触性皮膚炎は、Ⅳ型アレルギーに分類され、T細胞が炎症誘導に役割を果たす、特定の抗原に対する炎症である。自己抗体は関係ない。
重症筋無力症は、末梢神経と筋肉のつなぎ目の筋肉側の受容体などが自己抗体により破壊されることで、筋肉を動かす信号が伝わらないことが原因と考えられています。
DiGeorge症候群は、染色体欠失により胸腺形正が不十分となり、正常なT細胞のプールができない状態です。
重症複合免疫不全症にはいろいろなパターンがありますが、遺伝子の変異などにより免疫機能に重大な欠陥が生じた状態です。自己抗体は関係ありません。
110C82 抗菌薬感受性を測定する方法はどれか。2つ選べ。
a ディスク法
b Ouchterlony法
c 微量液体希釈法
e Polymerase Chain Reaction (PCR)法
ディスク法は、抗菌薬の染み込んだろ紙を平板培地におくことで、対象となる微生物の抗菌薬に対する感受性を判定します。
Ouchterlony法は、抗原と抗体を寒天にあけた別々の孔から拡散させ、沈降線により結合の仕方を判定します。
(微量)液体希釈法は、分かりにくいですがここでは、培養液中で抗菌薬を段階希釈した系列をつくり、どの濃度まで微生物が増殖できるかを判定することで、最小発育阻止濃度MICを測定できる方法を指すと考えられます。
ELISAは抗原抗体反応を利用した、特定のタンパク質の存在の判定などに用いる方法です。
PCRは、言わずと知れた、DNAの増幅法です。
このような、生命科学の実験手法に関する出題も時々あります。基本的な原理を知っておきましょう。他に、ウエスタンブロット、サザンブロット、SDS-PAGE、アガロースゲル電気泳動などが基本的でしょうか。
110C99 遺伝子再構成で多様性を獲得するのはどれか。2つ選べ。
a B細胞
b T細胞
c NK細胞
d 樹状細胞
e 肥満細胞
普通、生殖細胞を除く体細胞は全て受精卵と同じゲノム配列を持っていますが、B細胞とT細胞だけは、それぞれの抗原を認識するB細胞受容体(免疫グロブリン)とT細胞受容体(TCR)の遺伝子のV(D)J組み換えが起こることで、無数の抗原に対応できるようになります。免疫グロブリン遺伝子の組み換えがおこること示してノーベル賞を受賞したのが利根川進博士です。近いうちに、人名問題ででるかも??
110C102 白血球の細胞膜の構造を傷害する毒素を産生するのはどれか。1つ選べ。
a Tannerella forsythia
b Treponema denticola
c Fusobacterium nucleatum
d Porphyromonas gingivalis
e Aggregatibacter actinomycetemcomitans
これは知識問題です。eが、ロイコトリエンという毒素を産生します。
(leukocyte = 白血球)
110C113 原虫感染症はどれか。1つ選べ。
a オウム病
b 日本紅斑熱
c ハンセン病
d アスペルギルス症
e トキソプラズマ症
原虫とはなにか?原虫による感染症にはどのようなものがあるか?
毎年聞かれるわけではありませんが、病原体の分類の基本です。
以上、微生物・免疫学に関する問題の解説でした。
やはり、あまり重箱の隅のような問題は少なく、基本を理解しているか、が問われていると思います。こういう問題を確実に正解していくことが、合格につながります。
↓2018年 第111回歯科医師国家試験の予想問題はこちら。あたる確率は低めです。
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予想問題 2017年 歯科衛生士国家試験(微生物・免疫学分野)
私のメモが確かなら、、、2017年3月5日は第27回歯科衛生士国家試験です。
ここでは、主に微生物学・免疫学分野の出題予想問題をとりあげたいと思います。予想と言っても、最近の他の医療系国家試験問題などから拾ってきたものがメインになります。
なかでも歯科衛生士の国試には、過去の歯科医師国家試験を参考にしたと思われる問題はよく出ますので、そのあたりは特に注目する必要がありそうです。
逆に衛生士→歯科医師国試のパターンもあります。
では、問題にいきます。
免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。
2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。
歯科衛生士国家試験 2016年
(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
この問題は、二段階に読み解く必要があります。
まず図から、
・これは免疫グロブリンの五量体である。
↓
・五量体をつくるのはIgMである。
↓
・IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?
という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。
単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。
単発の知識ではなく、考える力が問われます。
※これをもとにした予想問題を作ってみます。
免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
これだとどうですか??
ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンはどれ??そしてその特徴は??
(3.の選択肢は、「分泌型が存在する」となっていると、もう少し簡単かもしれません。(簡単すぎる?))
次に、
臨床検査技師国家試験 2016年
80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。
1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤
ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。
歯科衛生士の国家試験でも免疫グロブリンの種類と機能は頻出ですが、マンネリ気味なので、こんな感じの新しい問題が出そうと予想します。
消毒薬の希釈に必要な液量を問う問題
3倍希釈の麺つゆを薄めたりすることがあると思うので、考えれば分かりそうなものですが、なかなか最近の大学生に聞いても正解できない人が多いです。昨年歯科衛生士国家試験で出題されましたが、似たような計算問題が今後もでそうです。。
歯科衛生士国家試験(2016年)
(午後97)床やスピットンに散った血液の消毒に6%次亜塩素酸ナトリウム液を希釈して0.5%液を600mL作ることにした。
6%次亜塩素酸ナトリウム液は何mL必要か。
- 25 mL
- 50 mL
- 75 mL
- 100 mL
看護師国家試験(2015年)
90. 5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくる
のに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入すること。
解答:①②mL
<計算問題:2桁の数字をマークシートで答える問題です>
↓考え方をやや詳しく書いています。
感染症の流行時期を問う問題
2016年の医師国家試験の問題で、おもしろい問題がありました。詳しくはリンクをご覧ください。これも初めて見ると戸惑うかもしれませんが、考えると一般常識で答えられる問題です。こんな感じのも出るかもしれません。
医師国家試験(2016年)
110B25 あるウイルス性疾患の我が国における月別発生数の傾向を示す。
この疾患はどれか。
a 水痘
b B型肝炎
c デング熱
d インフルエンザ
詳しい解説はこちら↓
直近の歯科医師国家試験からの類似問題が出題される傾向があるということで、2016年の問題からいくつか取りあげます。2017年の歯科医師国家試験はまだ詳しく見ていませんが、出題には間に合わないのでいいでしょう。
昨年2016年の歯科医師国家試験問題はこちら↓。
歯科医師国家試験(2016年)
(109C4) CD4 陽性T細胞の減少を引き起こすのはどれか。1つ選べ。
<超超基本問題です!「T細胞に感染するウイルス」が答えられるとよいです。わかりますよね??>
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<追記:この問題、ほぼ的中していました!実際の問題はこちら↓
※※ 2017午前9
エイズの発生機序に関与するのはどれか。
a. 自己抗体の産生
b. IgE抗体の産生
c. 補体依存性細胞傷害
d. ヘルパーT細胞の減少
>
kogumakita.hatenablog.jp---------------------------------------------------------------------------
(109C16) スタンダードプレコーションで誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 全ての患者に適用される。
- 米国CDCが提唱したものである。
- 再使用する器具は洗浄・滅菌をする。
- 傷のある皮膚を扱う際にも適用される。
- 特定の病原体ごとに決められた予防策である。
<標準予防策とは、病原体を特定せずに、全ての可能性のある病原体に対して最低限の共通した予防策です。よって、誤っているのは5.です。>
(109C46) 回帰発症によるものはどれか。1つ選べ。
<「回帰発症」というのはヘルペスウイルス感染症の特徴で、一度かかったあとに潜伏していたウイルスが、免疫低下時などに増殖して再び発症します。単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスや、水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹などがこの回帰発症にあたります。よって、答えは3.。
1.水痘は違うの??と思った人はするどいです。水痘・帯状疱疹ウイルスというのはひとつのウイルスなのですが、初感染では水痘の症状を起こし、潜伏後の回帰発症で帯状疱疹を起こします。なので、水痘は回帰発症には当たらないという考え方が必要です。「帯状疱疹」が選択肢にあれば、これも正解になるはずです。
あと、ヘルペスウイルスに効く抗ヘルペスウイルス薬として、アシクロビルは当然知っておく必要があります。>
今年2017年の歯科医師国家試験の予想問題も参考にしてください↓(ただし、あまり当たってない)。
その他、一部重複がありますが、こちらも練習問題として使える問題が含まれています↓。
それでは、試験がんばってください!
これからの国家試験は思考力を問う問題が増えるに!
たぶん医師国家試験むけの塾や、国試過去問のデータベースを運営しているmedu4という組織があります。代表の穂澄さんという若い方が、youtubeなどにも動画をあげていて、熱心に指導されている熱意に感心します。
このような、若い熱心な先生が国家試験受験の指導をするというのは、一昔前、私が大学生だった頃の伊藤真先生の司法試験塾を思いだします。新しい世代の考え方で、あたらしい専門家を育てようという熱意を感じます。単に、国家試験に合格させればそれでいい、という考え方では決してないと思います。
それはさておき、私も医師国家試験問題の情報収集にとても参考にさせていただいているのですが、medu4から今年2017年の111回医師国家試験の総評が発表されていました。その中で、なるほどと思った興味深い分析がありましたので、引用します。
今回の国家試験でも、思考力を問う問題が増加傾向だということです。
”80回台までの国試は暗記力であった。90回台までの国試はパターン力であった。100回台までの国試は病態生理であった。病態生理が重要であることはいつの時代も変わらないが、既に相当数の受験生に浸透しておりもはや差をつけない。断言しよう、110回台の国試は思考力が合否を分ける。”(medu4)
"思考力は当然ながら一朝一夕では身につかない。また、日頃から考える習慣を付けておかねば一向に磨かれない。「とりあえず覚えよう」「ノートに書いてあるはずだ」といった安直な習慣に終止符を打つこと。これは医師になってからも重要だ。"(medu4)
(引用文の書き方が分からないので、ベタでコピーしただけです。)
昨今の教育現場でも、以下に学生に思考してもらうかがテーマに成っているように思います。医師国家試験の難しい臨床問題にかぎらずとも、いろんな国家試験問題をみていると、たしかに思考力が必要な問題は増えています。レベルはそんなに高くないですが、単純に1つの知識を問うのではなく、2つの知識を組合せて、二段階に考えて答える事が必要な問題があったりします。そういう意味では、どのレベルでも、下の学年で基礎を学ぶときから思考して、理解しながら学習を進めてほしいと願います。
以上
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予想問題 2017年 看護師・臨床検査技師・薬剤師国家試験(微生物・免疫分野)
私のメモが確かなら、2017年、、、
2月19日は看護師国家試験(106回)、
2月22日に臨床検査技師国家試験(63回)、
2月25日と26日は薬剤師国家試験(102回)です。
(それぞれの受験者数は順に、約6万人、約4千人、約1.5万人ほどのようです。)
そこで、極めて大雑把で申し訳ないのですが、この3つの試験を対象に簡単に微生物・免疫(と生物?)の予想問題・対策問題を掲載したいと思います。
主に過去の各国家試験の問題を集めただけですので、見たことある問題も含まれると思いますが、ウォーミングアップのつもりで気楽に目を通していただけるとよいかもしれません。各国家試験に独特の問題はあまり取り上げず、どれに出ても良さそうな、共通した基本問題がメインとなります。
それと、先日行われた歯科医師国家試験の際には多少力をいれた対策問題集をつくりましたので、そちらも参考にしてください(ただし、ほとんど的中してない)。 kogumakita.hatenablog.jp
歯科医師国家試験の予想でも取りあげましたが、免疫グロブリンの問題は再度書いておきます。
免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。
2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。
歯科衛生士国家試験 2016年
(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
この問題は、二段階に読み解く必要があります。
まず図から、
・これは免疫グロブリンの五量体である。
↓
・五量体をつくるのはIgMである。
↓
・IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?
という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。
単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。
単発の知識ではなく、考える力が問われます。
※これをもとにした予想問題を作ってみます。
図:(想像してください)Y字型の免疫グロブリンが2つつながった絵
この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
これだとどうですか??
ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンは??
次に、
臨床検査技師国家試験 2016年
80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。
1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤
ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??
単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。
さて、ここからそれぞれの過去問の中から、お互いの試験に出そうな問題を取り上げます(一部関係ありませんが)。
看護師国家試験 2015年
90
5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくるのに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入す
ること。
解答:①②mL
<これ、いい問題です。というか、小学生でもできるはずですが、近頃は大学生でも苦手な人もいる問題です。解説は下をどうぞ。最近、いろんな国家試験でこの手の計算問題でてます。>
看護師国家試験 2012年 ちょっと飛んで数年前の問題です。
午前37 日本国内から排除されておらず、ワクチンの2回接種を推進している感染症はどれか。
1.麻疹 measles
2.破傷風 tetanus
3.ジフテリア diphtheria
4.急性灰白髄炎 Poliomyelitis
<これは、どうでしょう。ポリオはほぼ排除されたに近いようですが、、破傷風とジフテリアは混合ワクチンで同時に接種するはずなので、この2つは正解からはずれます(これが2回接種とすると、正解が2つ以上になってしまう)。それに、実際は3回か4回接種だったと思います。ということは、正解は1の麻疹なのでしょうね。>
この問題は置いておいて、ここから触発されて、オリジナル問題を考えました。
*四種混合ワクチンの対象に含まれる感染症はどれか。
1.麻疹
2.結核
3.B型肝炎
4.急性灰白髄炎
<これだと、どうでしょう。
・実は、従来のDPT三種混合ワクチンが、確か2012年から、不活化ポリオワクチンを加えて四種混合ワクチン(DPT-IPV)になりました。それまではポリオの生ワクチンが使用されていましたが(ここから、ポリオは経口感染するとわかる)、安全性と効果のバランスなどから不活化ワクチンに変更となったのです。
・また、2016年から、それまで任意だったB型肝炎ワクチンが定期接種化されました。こちらは現在単独接種です。
・ということで、答えは4です。このあたりの最近のワクチン事情が出題されませんかね?ちょっと早いかな?>
<追記:2017年の薬剤師国家試験の問237の正答選択肢で、ポリオワクチンが四種混合ワクチンに含まれていることを問う問題が出題されていました!いちおう的中と言えます!>
次いきます。
臨床検査技師国家試験 2016年
59 胸腺で行われるのはどれか。
1.単球の分化
2.好中球の産生
3.Tリンパ球の成熟
4.B リンパ球の成熟
5.老化赤血球の処理
<胸腺はThymus。ここで分化するところからT細胞と呼ばれているはずです。>
73 結核と同じ感染経路別予防策が必要な疾患はどれか。
1.水痘
2.梅毒
3.風疹
4.コレラ
5.デング熱
<結核は空気(飛沫核)感染します。空気感染する代表的な感染症は、結核・水痘・麻疹です。>
<追記:2017年の薬剤師国家試験の問233で、陰圧室に患者を収容する必要がある感染症を問う問題が出題されました!いちおう的中!>
午後68 ウイルスとクラミジアに共通する特徴はどれか。
1.二分裂で増殖する。
2.リボソームを有する。
3.抗生物質に感受性がある。
4.光学顕微鏡で観察できる。
5.増殖には生きた細胞が必要である。
<これ、単純ですが、いい問題ですね。まず、ウイルスとクラミジアは共通して、「偏性細胞内寄生体」です。それを意味する性質を答えればよいです。>
臨床検査技師 2013年
午後67 減数分裂を行う細胞はどれか。
1.精母細胞
2.前赤芽球
3.骨髄芽球
4.破骨細胞
5.骨髄巨核芽球
<まあ、そのままですが、減数分裂は生殖細胞をつくるときに起こります。>
次に行きます。
薬剤師国家試験 2016年
問86 熱に不安定な薬物の水溶液を滅菌するのに最も適した方法はどれか。1つ選べ。
1 高圧蒸気滅菌
2 乾熱滅菌
3 ろ過滅菌
4 高周波滅菌
5 ガス滅菌
<滅菌原理の基本が分かっているか問われます。熱をかけられないので細かいフィルターで濾過します。抗菌薬とかはだいたいこうするのではないでしょうか。他に血清など。>
薬剤師国家試験 2015年
問15 細菌の内毒素(エンドトキシン)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。
1 グラム陰性菌外膜の成分である。
2 主成分はタンパク質である。
3 外毒素に比べ、加熱処理に対して安定である。
4 細菌の種類により、構造的な多様性がある。
5 宿主の免疫反応をかく乱し、ショック症状をおこす。
<この問題、いいですね。多少考えないといけません。まあ内毒素と外毒素の違いが整理できていれば答えられます。内毒素はリポ多糖なので、タンパク質ではありません。外毒素はタンパク質です。>
薬剤師国家試験 2014年
問39 ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬はどれか。1つ選べ。
1 アシクロビル
2 アマンタジン
3 オセルタミビル
4 リトナビル
5 ガンシクロビル
<現在インフルエンザ流行中だし、でるかも。ノイラミニダーゼ阻害薬はオセルタミビルやザナミビル、最近はラニナミビルなどありますね。アマンタジンは、抗インフルエンザ薬ですが、ノイラミニダーゼ阻害薬ではありません。アシクロビル、ガンシクロビルは、抗ヘルペス薬です。リトナビルは、抗レトロウイルス薬だそうです。>
以上、予想問題というほどのこともないですが、おたがい参考になればと思います。
では、受験生の成功を祈ります!
予想問題 111回医師国家試験(2017年)(微生物・免疫学分野)
2017年2月11日から13日は、医師国家試験が行われます。3日間の長丁場なのですね。
医師国家試験はまだ今年の分しかみたとこがないので、予想すらできないのですが、参考になるかもしれないので、今年の歯科医師国家試験にむけて作成した予想問題はこちらです。
この中から強いてとりあげるとすると、こちらになります。非常に基本的な問題です。しかし単なる暗記ではなく、すこしばかりの思考力が試されます。
免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。
2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。
歯科衛生士国家試験 2016年
(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
この問題は、二段階に読み解く必要があります。
まず図から、
・これは免疫グロブリンの五量体である。
↓
・五量体をつくるのはIgMである。
↓
・IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?
という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。
単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。
単発の知識ではなく、考える力が問われます。
※これをもとにした予想問題を作ってみます。
図:(想像してください)Y字型の免疫グロブリンが2つつながった絵
この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
これだとどうですか??
ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンは??
次に、
臨床検査技師国家試験 2016年
80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。
1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤
ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??
単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。
medu4 穂澄先生の総評に関しては、
インフェクションコントロールチーム(ICT)に関する問題
インフェクションコントロールチーム(ICT)をご存じですか?
ここ数年で、各国家試験でICTに関する問題がよく出ているようです。
他の国家試験<歯科医師・?・>でも、いずれ出るかもしれませんね。
ちなみに、歯科医師の国家試験出題基準には、入っていると思います。<要確認>
概要の詳細は、こちらを御覧ください。
「感染防止対策等に関する平成28年度診療報酬改定に係わる資料」
↓少し古いですが、スライド形式で分かりやすいです。
ICTに関する問題の例
医師国家試験 2016年
110C11.院内感染対策チーム<ICT>で正しいのはどれか。
a 薬剤師はチームに入らない。
b 専従医師の配置が必須である。
c 感染患者の治療に強制介入する。
d 院内の感染症サーベイランスを行う。
e 感染症アウトブレイクに際して結成される。
<解説>
a 医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師などで構成されます。
b 「感染防止対策加算1」という最も加算の多い場合でも、専任の上記の職種のうち、「医師または看護師のうち1名は専従」が要件となっています。ですので、専従医師は必須ではない。(専従とは業務のうち該当業務が80%以上、専任とは50%以上従事することを意味するそうです。<要確認>)
c 強制介入するわけではなく、院内感染を防止したり、原因を探ったりします。
e 常設されています。
よって、答えはdとなります。
薬剤師国家試験 2015年
問85 感染制御チームにおける薬剤師の役割として適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 病棟ラウンドへの参画
2 注射薬の無菌調製の推進
3 使用済針のリキャップの推進
4 耐性菌などの感染関連情報の収集・提供
5 TDM による抗菌薬の投与設計
<リキャップはあかんでしょう、ということで、それ以外は正しいことになります。>
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予想問題 歯科医師国家試験 110回 2017年(微生物・免疫分野)
2017年の歯科医師国家試験は、2月4,5日に実施されます。
直前になりましたが、微生物・免疫学分野の予想問題を載せます。
過去の歯科医師国家試験、他の国家試験問題を参考にしています。
全範囲を網羅していませんが、出そうだな~と思うのは、以下のポイントです。
- プリオンについて
- 免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題
- 消毒薬の希釈に必要な液量を問う問題
- ディスク法による薬剤感受性の判定
- 感染症の流行時期を問う問題
- インフェクションコントロールチーム(ICT)について
プリオンについて
2016年には、各国家試験で、プリオンに関する出題が見られました。歯科でも出題されると予想します。
看護師国家試験(2016年)
31 感染性因子とその構成成分の組合せで正しいのはどれか。
1. 細菌 ―――― 核膜
2. 真菌 ―――― 細胞壁
4. ウイルス ―――― 細胞膜
(病原体の大まかな分類と、それぞれの生物学的な特徴が理解できているかを問う、重要な基本問題です。)
臨床検査技師国家試験 2016年
*77 プリオンの構成要素はどれか。
1.RNA
2.蛋白質
3.リポ多糖体
4.プラスミド
5.バクテリオファージ
歯科衛生士国家試験 2016年
(午前13)プリオンの本体はどれか
1. DNA
2. RNA
3. 糖質
4. タンパク質
、、ということで、プリオンの正体はタンパク質であるということをおさえておけば、問題なく答えられるはずです
免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。
2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。
歯科衛生士国家試験 2016年
(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
この問題は、二段階に読み解く必要があります。
まず図から、
・これは免疫グロブリンの五量体である。
↓
・五量体をつくるのはIgMである。
↓
・IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?
という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。
単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。
単発の知識ではなく、考える力が問われます。
※これをもとにした予想問題を作ってみます。
図:(想像してください)Y字型の免疫グロブリンが2つつながった絵
この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
これだとどうですか??
ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンは??
次に、
臨床検査技師国家試験 2016年
80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。
1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤
ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??
単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。
最後に、
消毒薬の希釈に必要な液量を問う問題
3倍希釈の麺つゆを薄めたりすることがあると思うので、考えれば分かりそうなものですが、なかなか最近の大学生に聞いても正解できない人が多いです。昨年歯科衛生士国家試験でも出題されたので、今年は歯科医師国家試験にでそうです。
昨年は、円周率を用いた小中学生でもできそうな計算問題が出題されましたが、正解率が悪かったようで、「問題としては適切だが、必修問題としては適切ではない」というような理由で、削除になりました。社会人として常識レベルの計算問題だと思ったのですが、、。ということで、希釈の計算問題がでるとすると、削除を避けるために一般問題としてでると、勝手に予想します。
歯科衛生士国家試験(2016年)
(午後97)床やスピットンに散った血液の消毒に6%次亜塩素酸ナトリウム液を希釈して0.5%液を600mL作ることにした。
6%次亜塩素酸ナトリウム液は何mL必要か。
- 25 mL
- 50 mL
- 75 mL
- 100 mL
看護師国家試験(2015年)
90. 5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくる
のに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入すること。
解答:①②mL
<計算問題:2桁の数字をマークシートで答える問題です>
解説は、下の記事を参照してください。
ディスク法による薬剤感受性の判定
歯科衛生士国家試験 2015年
薬剤感受性試験の拡散法〈感受性ディスク法〉の写真を別に示す。矢印で示した黒丸は薬剤を含んだディスクである。
最も効果のあるのはどれか。
a ① b ② c ③ d ④
単純な問題ですが、ちゃんと答えられますか?衛生士国家試験問題が数年後に歯科医師国家試験に出題されることもありますので、要チェックです。
この問題を少し変えたパターンとしては、細菌を塗った培地に抗菌薬と抗真菌薬のディスクを置いたときにどうなるかとか、真菌を塗った培地に抗菌薬と抗真菌薬のディスクを置くとどうなるか、など出題してみたいですね。
感染症の流行時期を問う問題
たしか2016年の医師国家試験の問題で、おもしろい問題がありました。詳しくはリンクをご覧ください。これも初めて見ると戸惑うかもしれませんが、考えると一般常識で答えられる問題です。
kogumakita.hatenablog.jp今年歯科医師国家試験で似た問題が出ないともかぎりません。
インフェクションコントロールチーム(ICT)について
2016年の医師国家試験に出題がありました。歯科医師国家試験の出題範囲にも含まれているので、知っておきたいところです。
医師国家試験 2016年
110C11.
院内感染対策チーム<ICT>で正しいのはどれか。
a 薬剤師はチームに入らない。
b 専従医師の配置が必須である。
c 感染患者の治療に強制介入する。
あと、標準予防策(スタンダードプレコーション)についても要チェック
どうでしょうか?どれか1つでも実際に出題されて、受験生の役に立てればうれしいです。試験がんばってください!