医療系国家試験:微生物・免疫学分野の過去問を分析する

医師・歯科医師・薬剤師・臨床検査技師・看護師・歯科衛生士などの国家試験から生物・微生物・免疫学の問題を集めて受験生に役立ててほしいという趣旨です。

予想問題2020年 歯科医師国家試験 113回 (微生物・免疫分野)

2020年、2月1日及び2日には、代113回歯科医師国家試験が実施されます。

そこで、対して当たらない出題予想をしてみたいと思います。

 

 

過去の予想

2017年にした予想はこちらです。

kogumakita.hatenablog.jp 

そして、2018年の予想はこちらです。

kogumakita.hatenablog.jp

 

2020年の予想

一部、過去の予想から引き継いでいますが、今年の予想をしたいと思います。くれぐれも言いますが、この予想はあたったタメシがありません。ただ、ここ数年の問題を参考に、次にでるとしたら、、という問題を考えています。暇つぶしに読んでください。 

 

妊娠中に感染すると、出生児に先天性異常を生じることがある病原体。

2018年に風疹ウイルス、2019年に梅毒トレポネーマが出題されたので、今年はトキソプラズマはどうでしょうか?

<問題>妊娠中に感染することにより、死産および自然流産だけではなく児に精神遅滞、視力障害、脳性麻痺など重篤な症状をもたらすことがあるのはどれか。

a マラリア

b トリコモナス

c 赤痢アメーバ

d クリプトスポリジウム

e トキソプラズマ

ウイルスのスパイクに関する問題

111回に、このような問題が出題されました。正解率は、あまり高くなかったようです。

111A41 A型インフルエンザウイルスの標的総胞への結合に関与するのはどれか。1つ

選べ。

a エステラーゼ

b ヘマグルチニン

c カプシドタンパク

d DNAポリメラーゼ

e RNAポリメラーゼ

  • 正解は、ヘマグルチニン(赤血球凝集素)です。ヘマグルチニンは、気道上皮細胞のシアル酸に結合することで、宿主細胞に吸着します

そこで、このような問題はどうでしょう?

<問題>A型インフルエンザウイルスの標的総胞からの放出に関与するのはどれか。1つ

選べ。

a M2タンパク質

b ヘマグルチニン

c ノイラミニダーゼ

d DNAポリメラーゼ

e RNAポリメラーゼ

  • いかがでしょうか?答えは、、下の方に書いておきます。

 

グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁の違いについて

2018年に、このような衝撃的な問題が出題されました。基本すぎで、誰も答えられなかったのです!!盲点ですね。

112A11 グラム陰性菌に特有の構造はどれか。1つ選べ。

a 外 膜

b 芽 胞

c 莢 膜

d リポタイコ酸

e ペプチドグリカン

こんな問題はどうでしょうか?

 

<問題> グラム陽性菌に特有の構造はどれか。1つ選べ。

a 外 膜

b 莢 膜

c 外毒素

d リポタイコ酸

e ペプチドグリカン

  • 答えは下に

時事問題

ころなウイルスは早すぎると思うので、これはどうでしょう?

<問題>妊娠中に感染すると、出生児に小頭症などが生じることがあるのはどれか?

a ジカウイルス

b 風疹ウイルス

c SFTSウイルス

d デングウイルス

e エボラウイルス

  • 答えは下に

 

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過去からの引き続き問題

T細胞とB細胞の遺伝子再構成に関して

VDJ組換えが起こる遺伝子はどれか?2つえらべ。

a. T細胞受容体

b. Toll様受容体

c. CD4受容体

d. MHCクラスⅠ

e. 免疫グロブリン

 <ポイント>110回で、遺伝子再構成が起こる細胞として、T細胞B細胞を答える問題が出題されました(110C99)。これらの細胞では、どんな抗原が来ても対応できるだけの構造の多様性をもった受容体を持っています。この多様性を生む仕組みがVDJ組み換えによる遺伝子再構成なわけですが、ではそれぞれの細胞で再構成が起こる遺伝子はどれか?という問題を予想します。

答えは、T細胞受容体(TCR)と免疫グロブリン(B細胞受容体)の遺伝子です。

 

免疫グロブリンの遺伝子再構成を証明したのはだれか?

a. 審良静男
b. 大村智
c. 北里柴三郎
d. 利根川進
e. 山中伸弥

<ポイント>では、免疫グロブリンの遺伝子再構成という大発見をしたは誰か、という問題です。1987年にノーベル賞を受賞しています。

 

 

 

寄生虫感染症に関する問題

寄生虫感染症はどれか。1つ選べ。

a. 梅毒
b. アニサキス
c. インフルエンザ
d. トキソプラズマ
e. 肺アスペルギルス症
f. クロイツフェルト・ヤコブ病

 <ポイント>昨年は、原虫感染症を問う問題が出題されましたので、単純に、次は寄生虫感染症を選ぶ問題が出ると予想します。それぞれの選択肢の原因微生物の種類(細菌・ウイルス・真菌など)はイメージ出来るようがよいでしょう。

 

「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」によりノーベル賞を受賞したのはだれか。

a. 大村智
b. 田中耕一
c. 利根川進
d. 山中伸也
e. 北里柴三郎

 <ポイント>2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞されましたので、時事問題としても出題の可能性ありと予想します。

 

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2020年予想問題の答え。

<問題>A型インフルエンザウイルスの標的総胞からの放出に関与するのはどれか。1つ

選べ。

  • インフルエンザウイルスが放出される時に、吸着に役立ったヘマグルチニンとシアル酸の結合は、邪魔になります。のりのようにくっついて、ウイルスが放出されないからです。そこで、ノイラミニダーゼは、シアル酸を切断します。つまり、ノイラミニダーゼはインフルエンザウイルスと気道上皮細胞の別れさせ屋です。

 

 

 <問題> グラム陽性菌に特有の構造はどれか。1つ選べ。

  • 逆に、陽性菌についての問題にしました。教科書等をみてもらうと分かりますが、グラム陽性菌細胞壁には、タイコ酸とかリポタイコ酸といった特有の構造があります。グラム陰性菌には外膜の他に、リポ多糖(LPS;外膜の一部)・リピドA(リポ多糖の更に一部。内毒素活性の本体)・ポーリン孔などが特有です

 

<問題>妊娠中に感染すると、出生児に小頭症などが生じることがあるのはどれか?

a ジカウイルス

b 風疹ウイルス

c SFTSウイルス

d デングウイルス

e エボラウイルス

 

まとめ

 いかがだったでしょうか?万が一、なにか当たればラッキーです。受験生の幸運を祈ります。

過去二年間の国家試験問題を貼っておきます。

 

kogumakita.hatenablog.jp

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