医療系国家試験:微生物・免疫学分野の過去問を分析する

医師・歯科医師・薬剤師・臨床検査技師・看護師・歯科衛生士などの国家試験から生物・微生物・免疫学の問題を集めて受験生に役立ててほしいという趣旨です。

感染症の流行時期を問う問題

2016年の医師国家試験(110回)におもしろい問題がありました。

感染症の月別の<患者数>のグラフから、あてはまる感染症を選ぶ問題です。

聞かれている内容は基礎的ですが、グラフの読み取りと考える力が必要な良問と思います。医師や歯科医師のCBTにでてもおかしくなさそうな問題です。

 

医師国家試験

110B25 あるウイルス性疾患の我が国における月別発生数の傾向を示す。

この疾患はどれか。

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a 水痘

B型肝炎

デング熱

d インフルエンザ

アデノウイルス感染症

 

どうでしょうか?グラフから、主に冬に流行していることがわかります。

あてはまる選択肢は、、、、自分で考えてください。

 

国立感染症研究所感染症発生動向調査週報 (IDWR)で、全国の感染症の報告数を毎週発表しています。ヒントとして、この週報の最新版から、いつかの感染症の報告数のグラフを載せます。横軸は1月から数えた週数ですので、横軸全体で1月から12月を表しています。

 

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 インフルエンザは冬季に感染者が増えることがわかります。グラフからは、2009年のパンデミックも読み取れます。

 咽頭結膜熱(プール熱)は、アデノウイルスが原因で起こり、プール熱の名からも分かるように、通常夏季に流行します。

 水痘は、特にピークはないようですが、夏季には減少する事がわかります。

 デング熱は、蚊が媒介するので、日本での国内感染が起こるとすると、蚊が活動する夏季となるはずです。熱帯地方からの輸入感染症としては、日本国内でも年中患者が発生する可能性がありますが、いずれにしても、冬季に流行のピークが来ることはないでしょう。

 以上から、答えはわかりますね。

 

 この年の、国家試験問題へのリンクです。

kogumakita.hatenablog.jp