医療系国家試験:微生物・免疫学分野の過去問を分析する

医師・歯科医師・薬剤師・臨床検査技師・看護師・歯科衛生士などの国家試験から生物・微生物・免疫学の問題を集めて受験生に役立ててほしいという趣旨です。

これからの国家試験は思考力を問う問題が増えるに!

 たぶん医師国家試験むけの塾や、国試過去問のデータベースを運営しているmedu4という組織があります。代表の穂澄さんという若い方が、youtubeなどにも動画をあげていて、熱心に指導されている熱意に感心します。

 このような、若い熱心な先生が国家試験受験の指導をするというのは、一昔前、私が大学生だった頃の伊藤真先生の司法試験塾を思いだします。新しい世代の考え方で、あたらしい専門家を育てようという熱意を感じます。単に、国家試験に合格させればそれでいい、という考え方では決してないと思います。

 

 それはさておき、私も医師国家試験問題の情報収集にとても参考にさせていただいているのですが、medu4から今年2017年の111回医師国家試験の総評が発表されていました。その中で、なるほどと思った興味深い分析がありましたので、引用します。

 

今回の国家試験でも、思考力を問う問題が増加傾向だということです。

”80回台までの国試は暗記力であった。90回台までの国試はパターン力であった。100回台までの国試は病態生理であった。病態生理が重要であることはいつの時代も変わらないが、既に相当数の受験生に浸透しておりもはや差をつけない。断言しよう、110回台の国試は思考力が合否を分ける。”(medu4)

"思考力は当然ながら一朝一夕では身につかない。また、日頃から考える習慣を付けておかねば一向に磨かれない。「とりあえず覚えよう」「ノートに書いてあるはずだ」といった安直な習慣に終止符を打つこと。これは医師になってからも重要だ。"(medu4)

(引用文の書き方が分からないので、ベタでコピーしただけです。)

 

 昨今の教育現場でも、以下に学生に思考してもらうかがテーマに成っているように思います。医師国家試験の難しい臨床問題にかぎらずとも、いろんな国家試験問題をみていると、たしかに思考力が必要な問題は増えています。レベルはそんなに高くないですが、単純に1つの知識を問うのではなく、2つの知識を組合せて、二段階に考えて答える事が必要な問題があったりします。そういう意味では、どのレベルでも、下の学年で基礎を学ぶときから思考して、理解しながら学習を進めてほしいと願います。

 

以上

 

 

 

 

 

予想問題 2017年 看護師・臨床検査技師・薬剤師国家試験(微生物・免疫分野)

私のメモが確かなら、2017年、、、

2月19日は看護師国家試験(106回)、

2月22日に臨床検査技師国家試験(63回)、

2月25日と26日は薬剤師国家試験(102回)です。

(それぞれの受験者数は順に、約6万人、約4千人、約1.5万人ほどのようです。)

 

そこで、極めて大雑把で申し訳ないのですが、この3つの試験を対象に簡単に微生物・免疫(と生物?)の予想問題・対策問題を掲載したいと思います。

 

主に過去の各国家試験の問題を集めただけですので、見たことある問題も含まれると思いますが、ウォーミングアップのつもりで気楽に目を通していただけるとよいかもしれません。各国家試験に独特の問題はあまり取り上げず、どれに出ても良さそうな、共通した基本問題がメインとなります。

 

それと、先日行われた歯科医師国家試験の際には多少力をいれた対策問題集をつくりましたので、そちらも参考にしてください(ただし、ほとんど的中してない)。 kogumakita.hatenablog.jp

歯科医師国家試験の予想でも取りあげましたが、免疫グロブリンの問題は再度書いておきます。

免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。

2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。

歯科衛生士国家試験 2016年

(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。

 f:id:kogumakita:20160609154418p:plain

  1. 胎盤通過性がある。
  2. 抗原感作後に最も早く出現する。
  3. 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
  4. アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。

この問題は、二段階に読み解く必要があります。

まず図から、

・これは免疫グロブリンの五量体である。

  ↓

・五量体をつくるのはIgMである。

  ↓

IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?

という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。

単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。

単発の知識ではなく、考える力が問われます。

 

※これをもとにした予想問題を作ってみます。

図:(想像してください)Y字型の免疫グロブリンが2つつながった絵

この免疫グロブリンの特徴はどれか。

  1. 胎盤通過性がある。
  2. 抗原感作後に最も早く出現する。
  3. 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
  4. アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。

これだとどうですか??

ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンは??

 

次に、

臨床検査技師国家試験 2016年

80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。

f:id:kogumakita:20160622175847p:plain

 

1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤

ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??

単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。

 

さて、ここからそれぞれの過去問の中から、お互いの試験に出そうな問題を取り上げます(一部関係ありませんが)。

 

看護師国家試験 2015年

90  

5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくるのに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入す

ること。

解答:①②mL

<これ、いい問題です。というか、小学生でもできるはずですが、近頃は大学生でも苦手な人もいる問題です。解説は下をどうぞ。最近、いろんな国家試験でこの手の計算問題でてます。>

 

kogumakita.hatenablog.jp

 

看護師国家試験 2012年 ちょっと飛んで数年前の問題です。 

午前37 日本国内から排除されておらず、ワクチンの2回接種を推進している感染症はどれか。

1.麻疹 measles

2.破傷風 tetanus

3.ジフテリア diphtheria

4.急性灰白髄炎 Poliomyelitis

<これは、どうでしょう。ポリオはほぼ排除されたに近いようですが、、破傷風ジフテリアは混合ワクチンで同時に接種するはずなので、この2つは正解からはずれます(これが2回接種とすると、正解が2つ以上になってしまう)。それに、実際は3回か4回接種だったと思います。ということは、正解は1の麻疹なのでしょうね。>

 

この問題は置いておいて、ここから触発されて、オリジナル問題を考えました。

*四種混合ワクチンの対象に含まれる感染症はどれか。

1.麻疹

2.結核 

3.B型肝炎

4.急性灰白髄炎

<これだと、どうでしょう。

・実は、従来のDPT三種混合ワクチンが、確か2012年から、不活化ポリオワクチンを加えて四種混合ワクチン(DPT-IPV)になりました。それまではポリオの生ワクチンが使用されていましたが(ここから、ポリオは経口感染するとわかる)、安全性と効果のバランスなどから不活化ワクチンに変更となったのです。

・また、2016年から、それまで任意だったB型肝炎ワクチンが定期接種化されました。こちらは現在単独接種です。

・ということで、答えは4です。このあたりの最近のワクチン事情が出題されませんかね?ちょっと早いかな?>

<追記:2017年の薬剤師国家試験の問237の正答選択肢で、ポリオワクチンが四種混合ワクチンに含まれていることを問う問題が出題されていました!いちおう的中と言えます!>

 

次いきます。

臨床検査技師国家試験 2016年

59 胸腺で行われるのはどれか。

1.単球の分化

2.好中球の産生

3.Tリンパ球の成熟

4.B リンパ球の成熟

5.老化赤血球の処理

<胸腺はThymus。ここで分化するところからT細胞と呼ばれているはずです。>

 

73 結核と同じ感染経路別予防策が必要な疾患はどれか。

1.水痘

2.梅毒

3.風疹

4.コレラ

5.デング熱

結核は空気(飛沫核)感染します。空気感染する代表的な感染症は、結核・水痘・麻疹です。>

<追記:2017年の薬剤師国家試験の問233で、陰圧室に患者を収容する必要がある感染症を問う問題が出題されました!いちおう的中!>

 

午後68 ウイルスとクラミジアに共通する特徴はどれか。

1.二分裂で増殖する。

2.リボソームを有する。

3.抗生物質に感受性がある。

4.光学顕微鏡で観察できる。

5.増殖には生きた細胞が必要である。

<これ、単純ですが、いい問題ですね。まず、ウイルスとクラミジアは共通して、「偏性細胞内寄生体」です。それを意味する性質を答えればよいです。>

 

臨床検査技師 2013年

午後67 減数分裂を行う細胞はどれか。

1.精母細胞

2.前赤芽球

3.骨髄芽球

4.破骨細胞

5.骨髄巨核芽球

<まあ、そのままですが、減数分裂生殖細胞をつくるときに起こります。>

 

次に行きます。

薬剤師国家試験 2016年

問86 熱に不安定な薬物の水溶液を滅菌するのに最も適した方法はどれか。1つ選べ。

1 高圧蒸気滅菌

2 乾熱滅菌

3 ろ過滅菌

4 高周波滅菌

5 ガス滅菌

<滅菌原理の基本が分かっているか問われます。熱をかけられないので細かいフィルターで濾過します。抗菌薬とかはだいたいこうするのではないでしょうか。他に血清など。>

 

薬剤師国家試験 2015年

問15 細菌の内毒素(エンドトキシン)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。

1 グラム陰性菌外膜の成分である。

2 主成分はタンパク質である。

3 外毒素に比べ、加熱処理に対して安定である。

4 細菌の種類により、構造的な多様性がある。

5 宿主の免疫反応をかく乱し、ショック症状をおこす。

<この問題、いいですね。多少考えないといけません。まあ内毒素と外毒素の違いが整理できていれば答えられます。内毒素はリポ多糖なので、タンパク質ではありません。外毒素はタンパク質です。>

 

薬剤師国家試験 2014年

問39 ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬はどれか。1つ選べ。

1 アシクロビル

2 アマンタジン

3 オセルタミビル

4 リトナビル

5 ガンシクロビル

<現在インフルエンザ流行中だし、でるかも。ノイラミニダーゼ阻害薬はオセルタミビルやザナミビル、最近はラニナミビルなどありますね。アマンタジンは、抗インフルエンザ薬ですが、ノイラミニダーゼ阻害薬ではありません。アシクロビル、ガンシクロビルは、抗ヘルペス薬です。リトナビルは、抗レトロウイルス薬だそうです。>

 

 

以上、予想問題というほどのこともないですが、おたがい参考になればと思います。

では、受験生の成功を祈ります!

予想問題 111回医師国家試験(2017年)(微生物・免疫学分野)

2017年2月11日から13日は、医師国家試験が行われます。3日間の長丁場なのですね。

医師国家試験はまだ今年の分しかみたとこがないので、予想すらできないのですが、参考になるかもしれないので、今年の歯科医師国家試験にむけて作成した予想問題はこちらです。

kogumakita.hatenablog.jp

 この中から強いてとりあげるとすると、こちらになります。非常に基本的な問題です。しかし単なる暗記ではなく、すこしばかりの思考力が試されます。

免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。

2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。

歯科衛生士国家試験 2016年

(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。

 f:id:kogumakita:20160609154418p:plain

  1. 胎盤通過性がある。
  2. 抗原感作後に最も早く出現する。
  3. 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
  4. アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。

この問題は、二段階に読み解く必要があります。

まず図から、

・これは免疫グロブリンの五量体である。

  ↓

・五量体をつくるのはIgMである。

  ↓

IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?

という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。

単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。

単発の知識ではなく、考える力が問われます。

 

※これをもとにした予想問題を作ってみます。

図:(想像してください)Y字型の免疫グロブリンが2つつながった絵

この免疫グロブリンの特徴はどれか。

  1. 胎盤通過性がある。
  2. 抗原感作後に最も早く出現する。
  3. 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
  4. アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。

これだとどうですか??

ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンは??

 

次に、

臨床検査技師国家試験 2016年

80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。

f:id:kogumakita:20160622175847p:plain

 

1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤

ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??

単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。

 

 medu4 穂澄先生の総評に関しては、

kogumakita.hatenablog.jp

 

 

 

インフェクションコントロールチーム(ICT)に関する問題

インフェクションコントロールチーム(ICT)をご存じですか?

 

ここ数年で、各国家試験でICTに関する問題がよく出ているようです。

他の国家試験<歯科医師・?・>でも、いずれ出るかもしれませんね。

ちなみに、歯科医師の国家試験出題基準には、入っていると思います。<要確認>

 

概要の詳細は、こちらを御覧ください。

「感染防止対策等に関する平成28年度診療報酬改定に係わる資料」

↓少し古いですが、スライド形式で分かりやすいです。

 感染防止対策加算の説明資料(平成22年診療報酬改定時)

 

ICTに関する問題の例

 医師国家試験 2016年

110C11.院内感染対策チーム<ICT>で正しいのはどれか。

a 薬剤師はチームに入らない。

b 専従医師の配置が必須である。

c 感染患者の治療に強制介入する。

d 院内の感染症サーベイランスを行う。

e 感染症アウトブレイクに際して結成される。

 

<解説>

a 医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師などで構成されます。

b 「感染防止対策加算1」という最も加算の多い場合でも、専任の上記の職種のうち、「医師または看護師のうち1名は専従」が要件となっています。ですので、専従医師は必須ではない。(専従とは業務のうち該当業務が80%以上、専任とは50%以上従事することを意味するそうです。<要確認>)

c 強制介入するわけではなく、院内感染を防止したり、原因を探ったりします。

e 常設されています。

 よって、答えはdとなります。

 

薬剤師国家試験 2015年

問85 感染制御チームにおける薬剤師の役割として適切でないのはどれか。1選べ

1 病棟ラウンドへの参画

2 注射薬の無菌調製の推進

3 使用済針のリキャップの推進

4 耐性菌などの感染関連情報の収集・提供

5 TDM による抗菌薬の投与設計

<リキャップはあかんでしょう、ということで、それ以外は正しいことになります。>

 

感染予防,そしてコントロールのマニュアル-すべてのICTのために-

感染予防,そしてコントロールのマニュアル-すべてのICTのために-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予想問題 歯科医師国家試験 110回 2017年(微生物・免疫分野)

2017年の歯科医師国家試験は、2月4,5日に実施されます。

 

直前になりましたが、微生物・免疫学分野の予想問題を載せます。

過去の歯科医師国家試験、他の国家試験問題を参考にしています。

 

全範囲を網羅していませんが、出そうだな~と思うのは、以下のポイントです。

  • プリオンについて
  • 免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題
  • 消毒薬の希釈に必要な液量を問う問題
  • ディスク法による薬剤感受性の判定
  • 感染症の流行時期を問う問題
  • インフェクションコントロールチーム(ICT)について

 

プリオンについて

2016年には、各国家試験で、プリオンに関する出題が見られました。歯科でも出題されると予想します。

 

看護師国家試験(2016年)

31  感染性因子とその構成成分の組合せで正しいのはどれか。

1. 細菌 ―――― 核膜

2. 真菌 ―――― 細胞壁

3. プリオン ―――― 核酸

4. ウイルス ―――― 細胞膜

 (病原体の大まかな分類と、それぞれの生物学的な特徴が理解できているかを問う、重要な基本問題です。)

 

臨床検査技師国家試験 2016年

77 プリオンの構成要素はどれか。

1.RNA

2.蛋白質

3.リポ多糖体

4.プラスミド

5.バクテリオファージ

 

歯科衛生士国家試験 2016年

(午前13)プリオンの本体はどれか

1. DNA
2. RNA

3. 糖質
4. タンパク質

、、ということで、プリオンの正体はタンパク質であるということをおさえておけば、問題なく答えられるはずです

 

免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。

2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。

歯科衛生士国家試験 2016年

(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。

 f:id:kogumakita:20160609154418p:plain

  1. 胎盤通過性がある。
  2. 抗原感作後に最も早く出現する。
  3. 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
  4. アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。

この問題は、二段階に読み解く必要があります。

まず図から、

・これは免疫グロブリンの五量体である。

  ↓

・五量体をつくるのはIgMである。

  ↓

IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?

という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。

単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。

単発の知識ではなく、考える力が問われます。

 

※これをもとにした予想問題を作ってみます。

図:(想像してください)Y字型の免疫グロブリンが2つつながった絵

この免疫グロブリンの特徴はどれか。

  1. 胎盤通過性がある。
  2. 抗原感作後に最も早く出現する。
  3. 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
  4. アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。

これだとどうですか??

ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンは??

 

次に、

臨床検査技師国家試験 2016年

80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。

f:id:kogumakita:20160622175847p:plain

 

1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤

ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??

単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。

 

最後に、

消毒薬の希釈に必要な液量を問う問題

3倍希釈の麺つゆを薄めたりすることがあると思うので、考えれば分かりそうなものですが、なかなか最近の大学生に聞いても正解できない人が多いです。昨年歯科衛生士国家試験でも出題されたので、今年は歯科医師国家試験にでそうです。

昨年は、円周率を用いた小中学生でもできそうな計算問題が出題されましたが、正解率が悪かったようで、「問題としては適切だが、必修問題としては適切ではない」というような理由で、削除になりました。社会人として常識レベルの計算問題だと思ったのですが、、。ということで、希釈の計算問題がでるとすると、削除を避けるために一般問題としてでると、勝手に予想します。

 

歯科衛生士国家試験(2016年)

(午後97)床やスピットンに散った血液の消毒に6%次亜塩素酸ナトリウム液を希釈して0.5%液を600mL作ることにした。 

 6%次亜塩素酸ナトリウム液は何mL必要か。

  1. 25 mL
  2. 50 mL
  3. 75 mL
  4. 100 mL

看護師国家試験(2015年)

90. 5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくる

のに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入すること。

解答:①②mL

<計算問題:2桁の数字をマークシートで答える問題です>

 

解説は、下の記事を参照してください。

kogumakita.hatenablog.jp

 

ディスク法による薬剤感受性の判定

歯科衛生士国家試験 2015年  

薬剤感受性試験の拡散法〈感受性ディスク法〉の写真を別に示す。矢印で示した黒丸は薬剤を含んだディスクである。

f:id:kogumakita:20170128231236p:plain

  最も効果のあるのはどれか。

a ①  b ②  c ③  d ④

 単純な問題ですが、ちゃんと答えられますか?衛生士国家試験問題が数年後に歯科医師国家試験に出題されることもありますので、要チェックです。

 この問題を少し変えたパターンとしては、細菌を塗った培地に抗菌薬と抗真菌薬のディスクを置いたときにどうなるかとか、真菌を塗った培地に抗菌薬と抗真菌薬のディスクを置くとどうなるか、など出題してみたいですね。

 

感染症の流行時期を問う問題

たしか2016年の医師国家試験の問題で、おもしろい問題がありました。詳しくはリンクをご覧ください。これも初めて見ると戸惑うかもしれませんが、考えると一般常識で答えられる問題です。

kogumakita.hatenablog.jp今年歯科医師国家試験で似た問題が出ないともかぎりません。

 

インフェクションコントロールチーム(ICT)について

2016年の医師国家試験に出題がありました。歯科医師国家試験の出題範囲にも含まれているので、知っておきたいところです。

医師国家試験 2016年

110C11.

院内感染対策チーム<ICT>で正しいのはどれか。

a 薬剤師はチームに入らない。

b 専従医師の配置が必須である。

c 感染患者の治療に強制介入する。

d 院内の感染症サーベイランスを行う。

e 感染症アウトブレイクに際して結成される。

kogumakita.hatenablog.jp

 

 

あと、標準予防策(スタンダードプレコーション)についても要チェック

 

 

 どうでしょうか?どれか1つでも実際に出題されて、受験生の役に立てればうれしいです。試験がんばってください!

 

 

 

 

消毒薬の希釈率を問う問題

 

 

消毒薬の希釈を間違えると、患者さんに害を与える可能性があります。訴訟につながったこともあると聞きます。(物騒ですが、病院で消毒薬による殺人が疑われた事件もありましたね。)

消毒薬を正しく希釈することは、とても重要です。計算は簡単です。しかし、大学生でもなかなかこの計算ができない人もいます。しっかり身につけてほしいです。

まず、実際に出題された例題です。

 

第25回 歯科衛生士国家試験(2016年)から

(午後97)床やスピットンに散った血液の消毒に6%次亜塩素酸ナトリウム液を希釈して0.5%液を600mL作ることにした。 

 6%次亜塩素酸ナトリウム液は何mL必要か。

  1. 25 mL
  2. 50 mL
  3. 75 mL
  4. 100 mL

 

kogumakita.hatenablog.jp

 

まず、6%を0.5%に希釈するには、何倍に希釈するか?

600mlに、その希釈率をかける(割る)と、答えがでます。

 6割る0.5は、12です。12倍希釈します。

600 ml の12分の1は、600 ml / 12 = 50 ml が答えです。

 

 続きまして、

 104回 看護師国家試験(2015年)から

90.

5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくるのに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入すること。

解答:①②mL

<計算問題:2桁の数字をマークシートで答える問題です>

kogumakita.hatenablog.jp

 これも、考え方は上の問題と同じです。まず、5%の原液から0.2%への希釈率は、5 / 0.2 = 25倍です。つまり、最終的に必要な液量に対して、原液が25分の1入っていればよいことになります。(希釈するのに用いる水の量は、25分の24ということになります。)

 ですので、2000 ml / 25 = 80 ml が答えとなります。

 

 分からない人は、そうめんつゆの希釈を思い浮かべてください。3倍濃縮のつゆ原液を使って、300 mlのそうめんつゆを作るには、どうしますか? 

 3倍濃縮ということは、全量の3分の1が原液であればよいことになります。つまり、300 ml / 3 = 100 ml の原液を使います。

 水の量は、300 - 100 = 200 mlです。300ml に 3分の2(1ひく 3分の1)をかけても、200 ml と求められます。)

濃縮ということは、全量の3分の1が原液であればよいことになります。つまり、300 ml / 3 = 100 ml の原液を使います。

 水の量は、300 - 100 = 200 mlです。300ml に 3分の2(1ひく 3分の1)をかけても、200 ml と求められます。)

 

※ 2017年の看護師国家試験にも出ていました。看護師では定番のようですね。他の国家試験でも、これからこの手の問題は増える気がします。

 106回 看護師国家試験(2017年)から

6% A消毒液を用いて、医療器材の消毒用の0.02 % A消毒液を1,500 mL作るために必要な6% A消毒液の量を求めよ。ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。解答:①.②mL

 

※このページを多くの人に閲覧していただいているようですので、アンケートを作りました。よろしければ、お答えください。

アンケートの最後に、上の問題を含む練習問題(3問)がついています。

forms.gle

 

 ↓いろんな消毒薬の使い方が分かる本は、こちら

シチュエーションに応じた消毒薬の選び方・使い方

シチュエーションに応じた消毒薬の選び方・使い方

 

 

↓勉強用の演習本をつくりました。

kogumakita.hatenablog.jp

 ↓amazonへのリンク

 ↓Youtubeチャンネルをつくってみました

www.youtube.com

感染症の流行時期を問う問題

2016年の医師国家試験(110回)におもしろい問題がありました。

感染症の月別の<患者数>のグラフから、あてはまる感染症を選ぶ問題です。

聞かれている内容は基礎的ですが、グラフの読み取りと考える力が必要な良問と思います。医師や歯科医師のCBTにでてもおかしくなさそうな問題です。

 

医師国家試験

110B25 あるウイルス性疾患の我が国における月別発生数の傾向を示す。

この疾患はどれか。

f:id:kogumakita:20160713174225p:plain

a 水痘

B型肝炎

デング熱

d インフルエンザ

アデノウイルス感染症

 

どうでしょうか?グラフから、主に冬に流行していることがわかります。

あてはまる選択肢は、、、、自分で考えてください。

 

国立感染症研究所感染症発生動向調査週報 (IDWR)で、全国の感染症の報告数を毎週発表しています。ヒントとして、この週報の最新版から、いつかの感染症の報告数のグラフを載せます。横軸は1月から数えた週数ですので、横軸全体で1月から12月を表しています。

 

f:id:kogumakita:20160802164422p:plain

f:id:kogumakita:20160802164444p:plain

 

 インフルエンザは冬季に感染者が増えることがわかります。グラフからは、2009年のパンデミックも読み取れます。

 咽頭結膜熱(プール熱)は、アデノウイルスが原因で起こり、プール熱の名からも分かるように、通常夏季に流行します。

 水痘は、特にピークはないようですが、夏季には減少する事がわかります。

 デング熱は、蚊が媒介するので、日本での国内感染が起こるとすると、蚊が活動する夏季となるはずです。熱帯地方からの輸入感染症としては、日本国内でも年中患者が発生する可能性がありますが、いずれにしても、冬季に流行のピークが来ることはないでしょう。

 以上から、答えはわかりますね。

 

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