2017年 看護師国家試験から
2017年(平成29年)の107回国家試験の問題から、いくつか抜き出します。
午前2 平成25年<2013 年>の感染症発生動向調査による年間の性感染症<STD sexually transmitted disease>報告数で
最も多いのはどれか。
1.性器クラミジア感染症 genital chlamydiosis
2.尖圭コンジローマ condyloma acuminatum
3.性器ヘルペス genital herpes
4.淋菌感染症 gonococcal infection
<1>
午前21 オートクレーブによる滅菌法はどれか。
1.乾熱滅菌
2.プラズマ滅菌
3.高圧蒸気滅菌
4.酸化エチレンガス滅菌
<3>
午前76 人獣共通感染症で蚊が媒介するのはどれか。
1.Q 熱 Q fever
2.黄熱 yellow fever
3.狂犬病 rabies
4.オウム病 psittacosis
5.重症熱性血小板減少症候群<SFTS>
<2>
午前86 麻疹measlesに関して正しいのはどれか。2つ選べ。
1.合併症として脳炎がある。
2.感染力は発疹期が最も強い。
3.効果的な抗ウイルス薬がある。
4.2回のワクチン定期接種が行われている。
5.エンテロウイルスの感染によって発症する。
<14>
午後10 病床数300床以上の医療機関で活動する感染制御チームで適切なのはどれか。
1.医師で構成される。
2.各病棟に配置される。
3.アウトブレイク時に結成される。
<4>
午後15 飛沫感染するのはどれか。
1.疥癬 scabies
2.コレラ cholera
3.A 型肝炎 hepatitis A
4.インフルエンザ influenza
<4>
午後16 水痘varicellaの症状はどれか。
1.耳下腺の腫脹
2.両頰部のびまん性紅斑
3.水疱へと進行する紅斑
4.解熱前後の斑状丘疹性発疹
<3>
午後22 針刺し事故によって感染するのはどれか。
1.RS ウイルス
2.B 型肝炎ウイルス
3.ヘルペスウイルス
<2>
午後43 アレルギー性鼻炎allergic rhinitisについて正しいのはどれか。
1.食後に症状が増悪する。
2.Ⅳ型アレルギーである。
3.スクラッチテストで原因を検索する。
4.アレルゲンの除去は症状の抑制に有効である。
<4>
午後89
6% A消毒液を用いて、医療器材の消毒用の0.02 % A消毒液を1,500 mL作るために必要な6% A消毒液の量を求めよ。ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答: ① .② mL
<5.0>
考え方は、下の記事へ。
↓このページの内容に質問等があれば、こちらへどうぞ。
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2017年 薬剤師国家試験問題から
2017年の第102回 薬剤師国家試験問題から、微生物学・免疫学の基本的な問題を抜き出します。
※は、薬剤師以外の国家試験受験者にも重要と思われる問題である。
※※は、そのなかでも特に重要か、時事問題で出題可能性が高いと思われる問題である。
ちなみに、予想問題はこんな感じでした。
では、実際の試験問題です。
<必修問題>
※※ 問14 真菌に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 ミトコンドリアをもたない。
2 エルゴステロールを含む細胞膜をもつ。
3 葉緑体をもつ。
4 細胞壁をもたない。
5 原核生物に分類される。
<ポイント>動物細胞の細胞膜にはリン脂質の他にコレステロールが埋まっており、細胞膜の柔軟性に関わるといわれています。真菌ではエルゴステロールがこの働きをします。抗真菌薬には、エルゴステロールの働きや合成を阻害する種類がありますので、その点でも重要です。次の年以降に、抗真菌薬の問題が出題される伏線の匂いをぷんぷん感じます!
<正解2>
問15 初回の免疫により最も早期に分泌される抗体のクラスはどれか。1つ選べ。
1 IgA
2 IgD
3 IgE
4 IgG
5 IgM
<ポイント>基本知識ですね。正解5
問18 ブタのレバーを生で食べることにより感染するリスクが最も高いウイルスはどれか。1つ選べ。
1 A型肝炎ウイルス
2 B型肝炎ウイルス
3 C型肝炎ウイルス
4 E型肝炎ウイルス
5 ノロウイルス
<ポイント>肝炎ウイルスのうち、B/C/D型は主に血液感染。AとE型は経口感染。A型は主に魚介類や水からの感染、E型はブタやシカに常在していると考えられ、日本ではこれらの動物との接触や生肉の接種でヒトに感染することがある。
※ 問19 母子感染する病原体のうち、新生児の心臓奇形と難聴のリスクを高めるのはどれか。1つ選べ。
1 ヒトT 細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1)
2 サイトメガロウイルス
3 風しんウイルス
4 トキソプラズマ原虫
5 梅毒トレポネーマ
<ポイント>全て母子感染する可能性のある病原体であるが、問題文の症状は、先天性風疹症候群の症状である。HTLV-1は母乳感染する。梅毒・トキソプラズマは胎盤感染する可能性があり、先天梅毒・先天性トキソプラズマ症の原因となる。CMVは、経胎盤感染や母乳感染することがある。正解3。
問64 単純ヘルペスウイルス感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 性器感染の多くは、HSV-1による。
2 免疫機能亢進時に発症する。
3 性器ヘルペスは、性交の翌日に好発する。
4 成人の口唇ヘルペスの多くは、ウイルスの再活性化により発症する。
5 確定診断は、細胞診により行う。
<ポイント>回帰発症はヘルペスウイルスの特徴である。正解:4
問65 ウイルス性肝炎に関する記述のうち、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 A型は多くが慢性化しやすい。
2 B型は経口感染である。
3 C型は血液感染である。
4 B型はRNA ウイルスが原因である。
5 C型はDNA ウイルスが原因である。
<ポイント>B/C/D型は血液感染である。
※ 問86 B型肝炎患者の血液で床が汚染された場合に適用される消毒薬はどれか。1つ選べ。
1 ポビドンヨード
2 次亜塩素酸ナトリウム
3 エタノール
4 クロルヘキシジングルコン酸塩
5 ベンザルコニウム塩化物
<ポイント>基本的な問題である。正解2。
<一般問題>
問116 真核細胞におけるmRNA からタンパク質への翻訳過程に関する記述について、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 翻訳過程は、開始、伸長及び終結の3段階の反応により完結する。
2 遺伝子の転写反応が完結する前に、翻訳開始反応が起こる。
3 翻訳開始反応は、mRNA の5’末端側から3’末端側の方向に進行する。
4 リボソームがもつぺプチジルトランスフェラーゼ活性により、ペプチド鎖伸長反応が起こる。
5 アミノアシルtRNA の生成には、ATP のエネルギーを利用してアミノ酸が活
性化される必要がある。
<ポイント>原核生物ではこういうことが起こるが、真核細胞では核内で転写が起こり、mRNAが細胞質へ出てから翻訳が起こるので、同時に起こることはない。正解:2
※※ 問118 免疫系における胸腺の役割に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 T細胞の前駆細胞は骨髄で作られた後、胸腺に移動して分化・成熟する。
2 胸腺において、T細胞抗原受容体の遺伝子の再構成が起こる。
3 胸腺は、成人において造血が行われる主要な器官である。
4 胸腺は、二次リンパ器官の一つである。
5 B細胞は主として胸腺で産生され、リンパ節で分化・成熟する。
<ポイント> 3. 成人で造血が主に起こるのは骨髄である。4. 胸腺は骨髄とともに一次リンパ器官である。5. B細胞は骨髄で賛成され、骨髄で分化・成熟する。正解12。
問120 細菌の毒素に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素は、宿主細胞のタンパク質合成を阻害する。
2 コレラ毒素は、宿主の神経筋接合部でのアセチルコリンの遊離を抑制し、筋肉の麻痺を引き起こす。
3 ボツリヌス毒素は、宿主細胞内でアデニル酸シクラーゼを活性化し、サイク
リックAMP 濃度の上昇をもたらす。
4 グラム陰性菌の内毒素(エンドトキシン)は、外膜に存在するリポ多糖であ
る。
<14>
問164 抗ウイルス薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 バラシクロビルは、アシクロビルに変換された後、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼでリン酸化され、ウイルスDNA の複製を抑制する。
2 リトナビルは、インフルエンザウイルスのNS3-4A プロテアーゼを阻害し、
感染細胞からのウイルスの遊離を抑制する。
3 テラプレビルは、C型肝炎ウイルスのノイラミニダーゼを阻害し、ウイルス
RNA の合成を抑制する。
4 ザナミビルは、HIV のプロテアーゼ活性を阻害し、ウイルス構成タンパク質
の産生を抑制する。
5 ジドブジンは、感染細胞内でリン酸化され、HIV 逆転写酵素を競合的に阻害
する。
<15>
問186 インフルエンザの病態、診断及び治療に関する記述のうち、正しいのはどれ
か。2つ選べ。
1 インフルエンザウイルスは、A、B、Cの3つの型に分類され、いずれもヒトに感染して典型的なインフルエンザ症状を発症させる。
2 インフルエンザによる死亡率が最も高い年代は、15歳以下の子供である。
3 迅速診断には、鼻腔・咽頭拭い液を用いた酵素免疫測定法が用いられる。
4 インフルエンザを発症した小児の解熱には、アセトアミノフェンは推奨されない。
5 慢性呼吸器疾患などのハイリスク患者にはオセルタミビルの予防内服が認められている。
<35>
※※ 問233 院内感染を予防するために、陰圧個室に患者を収容するなど空気感染対策をとる必要がある感染症はどれか。2つ選べ。
1 水痘
2 結核
3 クロストリジウム・ディフィシル感染症
4 マイコプラズマ感染症
5 ノロウイルス感染症
<ポイント>空気感染する病原体として、水痘・麻疹・結核がある。
昨年の予想的中!
問234-235 20歳女性。性感染症の薬物治療のため薬局に処方箋を持参した。
※※ 問234(実務)
薬剤師は服薬指導の際、厚生労働省の資料を基に作成したリーフレットを手渡した。下図はリーフレットの一部である。A は、陰部に潰瘍ができたり、リンパ節の腫れ、全身の発疹などの症状を呈する。A にあてはまる感染症はどれか。1つ選べ。
1 淋菌感染症
2 性器クラミジア感染症
3 性器ヘルペスウイルス感染症
4 尖圭コンジローマ
5 梅毒
<ポイント>近年、若年者での梅毒感染が増加している。時事問題として、各国家試験で頻出である。正解5
※ 問235(衛生) 次の性感染症のうち、感染症発生動向調査において全数把握対象疾患として規定されているのはどれか。1つ選べ。
1 淋菌感染症
2 性器クラミジア感染症
3 性器ヘルペスウイルス感染症
4 尖圭コンジローマ
5 梅毒
<ポイント>全て5類感染症の性行為感染症であるが、全数把握の対象は梅毒である。他4つは、5類感染症の定点把握の対象である。
問236-237 ある病院において、予防接種の頻度が上がり、患者からの薬剤部への問い合わせ件数も増加したため、ワクチンの接種法及び接種時期について確認作業を行った。
問236(実務)
予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 複数のワクチンを同時に接種する場合には、上腕と大腿など穿刺部位を離してから注射する。
2 不活化ワクチンの接種後に別の疾患に対するワクチンを接種する場合は、生ワクチンの接種後に比べ接種間隔を長くあける必要がある。
3 生ワクチンには有効期間が定められているが、不活化ワクチンには定められていない。
4 生ワクチン、不活化ワクチンのいずれの場合も、接種後に副反応が生じることがあるので30分程度様子を見ることが必要である。
<正解14>
※ 問237(衛生) 予防接種法に基づく定期の予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 高齢者の肺炎球菌感染症は予防接種法におけるB類疾病に含まれ、65歳以上になると、肺炎球菌ワクチンは毎年度1回ずつ接種することができる。
2 ポリオ(急性灰白髄炎)のワクチンは、ジフテリア、百日咳、破傷風のワクチンとともに、4種混合ワクチンとして接種される。
3 麻しん・風しん混合ワクチンは、免疫効果が強い生ワクチンなので、生後
12~24ヶ月の間に1回のみ接種される。
4 水痘は予防接種法におけるA類疾病に分類され、そのワクチンとしては弱毒生ワクチンが用いられる。
5 インフルエンザ菌b型(Hib)に対するワクチンは、インフルエンザウイルス
に対しても効果を示す。
<ポイント>5.インフルエンザ菌とインフルエンザウイルスは別物である。正解24。
選択肢2について、予想的中でした!
問245(衛生)
感染性廃棄物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 薬剤師は、感染性廃棄物に係る特別管理産業廃棄物管理責任者になることができる。
2 感染性廃棄物は滅菌処理した後も、全て指定された容器に分別しなければならない。
3 感染性産業廃棄物の処理は、指定を受けた契約業者に委託するためマニフェスト制度の対象外である。
4 感染性廃棄物を入れる容器にはバイオハザードマークを付けるか、感染性廃棄物であることを明記する必要がある。
<正解14>
※ 問301(病態・薬物治療)
HBV が原因のB型肝炎に関する記述として、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 HB ワクチンは感染予防には有効ではない。
2 性行為による感染はない。
3 IgM 型HBc抗体は肝炎の後期に現れる。
4 初感染で自然治癒するのは半数以下である。
5 HBs抗体は肝炎の病態が終息した後に上昇する。
<5>
2017年 医師国家試験問題から基本的な問題のみ
遅くなりましたが、2017年に行われた第111回医師国家試験から、微生物・免疫学に関する基本的な問題を抜き出しました。参考にしてください。
- 111D10 感染症法に基づき、すべての医師がすべての患者の発生について届出をおこなうのはどれか。
- 111D14 HTLV-1について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 111E6 ワクチン接種率が向上することで期待されるのはどれか。
- 111I4 誤嚥性肺炎の原因微生物として頻度が高いのはどれか。
- 111I24 嘔吐と下痢を伴うウイルス性胃腸炎が強く疑われる児の汚物を処理する際に用いられる消毒薬として適切なのはどれか。
- 111I31 感染経路として経口感染が主である肝炎ウイルスはどれか。2つ選べ。
111D10 感染症法に基づき、すべての医師がすべての患者の発生について届出をおこなうのはどれか。
a. 水痘
b. 梅毒
c. 突発性発疹
d. 伝染性紅斑
e .性器ヘルペス
<ポイント>全て5類感染症であるが、全数把握の対象は、梅毒である。他は、指定した医療機関が届出を行う定点把握である。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/syphilis/392-encyclopedia/465-syphilis-info.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html
111D14 HTLV-1について正しいのはどれか。2つ選べ。
a. レトロウイルスである。
b. CD8陽性T細胞に感染する
c. 感染経路は母乳がほとんどである。
d. 感染者は日本では東日本地域が多い
e. 感染から成人T細胞白血病の発症までの期間は5年以内である。
<ポイント>HTLV-1は、HIVと同じくレトロウイルス科のウイルスであり、当然RNAゲノムと逆転写酵素を有する点もポイントである。主にCD4陽性T細胞に感染するが、HIVの用にCD4受容体を介して感染するわけではないようである。母乳感染が多い。感染者は西日本に多く、潜伏期間は5年より長い。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/325-htlv-1-gintro.html
111E6 ワクチン接種率が向上することで期待されるのはどれか。
a. 感受性人口が増加する
b. 流行のピークが早まる。
c. 罹病期間が長くなる。
d. 潜伏期間が短くなる。
e. 罹患率が低下する。
<e>常識的な問題である。
111I4 誤嚥性肺炎の原因微生物として頻度が高いのはどれか。
a. 腸球菌属
b. 放線菌属
c. Candida属
d. 連鎖球菌属
e. Pseudomonas属
<ポイント>正解はd.口腔には連鎖球菌が多く、誤嚥性肺炎の原因となりやすい。高齢者に対する医科と歯科の連携も重要になってくるとされている。
111I24 嘔吐と下痢を伴うウイルス性胃腸炎が強く疑われる児の汚物を処理する際に用いられる消毒薬として適切なのはどれか。
a. エタノール
b. ポピドンヨード
c. 塩化ベンザルコニウム
d. 次亜塩素酸ナトリウム
e. グルコン酸クロルヘキシジン
<ポイント>ノロウイルスを指すと考えられる。適切なのは、中水準消毒薬である次亜塩素酸ナトリウムである。
111I31 感染経路として経口感染が主である肝炎ウイルスはどれか。2つ選べ。
a. A型
b. B型
c. C型
d. D型
e. E型
<a, e>B,C,D型は血液感染する。
以上、他の国家試験にも出題されそうな基本的な問題を取りあげました。
予想問題 2018年 歯科医師国家試験 111回 (微生物・免疫分野)
2018年1月ももうすぐ終わりです。国家試験の季節がやってきました。
まずは、2月4日、5日に111回の歯科医師国家試験があります。
今年から出題形式が少し変更になるということです。
昨年、出題予想をしました。結果としては、予想はまったく当たりませんでしたが、引き続き出題される可能性はあるので、参考にしてください。
特に、下の点は今年出てもおかしくないかと思います。
実際の2017年、110回の試験問題はこちらです。
昨年の予想に追加して、次の点に注目しています。内容の理解と共に、日本人がノーベル賞を受賞していますので、人物を問う問題としても出題される可能性があります。
また、その他、T細胞とB細胞の遺伝子再構成が出題されたことと関連して、以下のような免疫学の基本的な問題が出題されると予想しました。
- パターン認識受容体
- MHCとCD4またはCD8の組み合せ
このページでとりあげる問題を、クイズ形式で回答できるページを作りました。時間のある人は、まず力試しに問いてみてください。それから下の解説を読むと、より頭に定着するのではないでしょうか?
やらなくていいよという場合は、そのまま下へ進んでください。
では、ここからが予想問題と解説です。
目次
- 1.昨年出題された問題から派生した予想問題など
- 2.T細胞とB細胞の遺伝子再構成に関して
- 3.寄生虫感染症に関する問題
- 4.その他
- 昨年の医師国家試験問題(111回)から
- ここ2年の臨床検査技師国家試験問題から
- 2017年 薬剤師国家試験から
1.昨年出題された問題から派生した予想問題など
細菌の細胞壁合成を阻害する抗菌薬はどれか?2つえらべ。
a. アゾール系
b. ポリエン系
c. β-ラクタム系
d. グリコペプチド系
e. テトラサイクリン系
<ポイント>
110回では、細菌の細胞壁を分解する酵素が問われ、リゾチームを答える問題が出題されました。そこで今年は、細菌細胞壁合成阻害薬が問われると予想します。
a. b. は、抗真菌薬ですね。抗菌薬は、作用機序ごとの分類を頭に入れておくとよいでしょう。抗菌薬のうち、テトラサイクリン系は、リボソームに結合してタンパク質合成を阻害します。β-ラクタム系とグリコペプチド系(例:バンコマイシン)は、ペプチドグリカンの合成を阻害します。
アシクロピルが奏効するのはどれか。1つ選べ。
a. 麻疹
b. C型肝炎
c. 帯状疱疹
d. 感染性胃腸炎
e. 成人T細胞白血病
<ポイント>110回の問題(110A71)から、正解の選択肢を変更した問題です。ヘルペスウイルス科を整理しましょう。ここ数年で、回帰発症が問われたり、突発性発疹が出題されています。他には、サイトメガロウイルスやEBウイルスを見ておきましょう。
2.T細胞とB細胞の遺伝子再構成に関して
VDJ組換えが起こる遺伝子はどれか?2つえらべ。
a. T細胞受容体
b. Toll様受容体
c. CD4受容体
d. MHCクラスⅠ
e. 免疫グロブリン
<ポイント>110回で、遺伝子再構成が起こる細胞として、T細胞とB細胞を答える問題が出題されました(110C99)。これらの細胞では、どんな抗原が来ても対応できるだけの構造の多様性をもった受容体を持っています。この多様性を生む仕組みがVDJ組み換えによる遺伝子再構成なわけですが、ではそれぞれの細胞で再構成が起こる遺伝子はどれか?という問題を予想します。
答えは、T細胞受容体(TCR)と免疫グロブリン(B細胞受容体)の遺伝子です。
免疫グロブリンの遺伝子再構成を証明したのはだれか?
a. 審良静男
b. 大村智
c. 北里柴三郎
d. 利根川進
e. 山中伸弥
<ポイント>では、免疫グロブリンの遺伝子再構成という大発見をしたは誰か、という問題です。1987年にノーベル賞を受賞しています。
3.寄生虫感染症に関する問題
寄生虫感染症はどれか。1つ選べ。
a. 梅毒
b. アニサキス症
c. インフルエンザ
d. トキソプラズマ症
e. 肺アスペルギルス症
f. クロイツフェルト・ヤコブ病
<ポイント>昨年は、原虫感染症を問う問題が出題されましたので、単純に、次は寄生虫感染症を選ぶ問題が出ると予想します。それぞれの選択肢の原因微生物の種類(細菌・ウイルス・真菌など)はイメージ出来るようがよいでしょう。
ここでは、アニサキス症を正解とします。トキソプラズマは原虫で、「寄生虫」という言葉は広い意味では原虫も含むかもしれませんが、この問題では、狭い意味の寄生虫を聞いています。
「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」によりノーベル賞を受賞したのはだれか。
a. 大村智
b. 田中耕一
c. 利根川進
d. 山中伸也
e. 北里柴三郎
<ポイント>2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞されましたので、時事問題としても出題の可能性ありと予想します。
4.その他
Red complexに含まれる細菌と同じ属の細菌によっておこる感染症は?
a. 梅毒
b. 風疹
c. 猩紅熱
d. ツツガムシ病
e. 口腔カンジダ症
<ポイント>まず、Red Complexと呼ばれる、歯周病と関連の深い細菌を理解しているか(最近の研究では、必ずしも正しいかどうかは疑問視される部分もありますが、とりあえず国家試験では覚えておく必要がある)。そして、3つあるその細菌と同じ属名をもつ細菌が原因の感染症はどれか?という問題です。正解は、Treponema pallidumが病原体である感染症なのですが、どれでしょうか?近年、日本でも感染者数が増加しているということで、たびたびニュースになっています。時事問題として出題の可能性があると予想します。
病原体に共通する構造を認識する、「パターン認識レセプター」に含まれるのはどれか?
a. Fc受容体
b. CD4受容体
c. Toll様受容体
d. MHCクラスⅠ
e. MHCクラスⅡ
<ポイント>T細胞とB細胞での遺伝子再構成といった免疫学の基礎内容が出題されたということから、同様な基礎的問題としての出題を予想します。
パターン認識レセプター(PRRs; Pattern Recognition Reseptors)は、例えばリポ多糖や鞭毛など、病原体特有の共通した構造を認識する受容体である。なかでも、Toll様受容体(Toll-like receptor; TLR)が代表的である。
例えば、TLR4が、グラム陰性菌を認識するといった具合である。他にも、細菌の鞭毛やペプチドグリカンや、真菌の細胞壁、ウイルスの二本鎖RNAなど、病原体にしか存在しない構造を認識して、活性化する。
樹状細胞がCD4陽性T細胞に抗原提示するために、貪食した外来ペプチドをのせる分子は?
a. Fc受容体
b. CD4受容体
c. CD8受容体
d. Toll様受容体
e. MHCクラスⅡ
<ポイント>同様に、免疫の基礎的な内容として、樹状細胞による抗原提示を予想します。ヘルパーT細胞などのCD4陽性T細胞は、MHCクラスⅡを発現する細胞から抗原提示を受けます。抗原を載せているのがMHCクラスⅡであり、これがCD4と結合するので、この組合せは決まっています。抗原提示する相手は、上ででてきた、T細胞受容体(TCR)です。この遺伝子が再構成をうけることで10の何乗にもなる多様な抗原を認識できるわけです。
ウイルスに感染した細胞などがCD8陽性T細胞(のTCR)に抗原提示する場合は、MHCクラスⅠ上に抗原を載せます。MHCクラスⅠとCD8が結合するという組合せも決まっているので、抗原提示する相手はCD8陽性T細胞ということになります。
以上、今年の予想はいかがだったでしょうか?やや免疫にかたよっていますが、これは、昨年、遺伝子再構成の問題が出題されたところから、ピンと来るものがありました。一問でも、近い問題が出題されるとよいのですが・・。
ドンピシャにあたらなくても、ここで予想した内容を理解していることは、役に立つと思います。
昨年の医師国家試験問題(111回)から
他に、昨年の医師国家試験問題からいくつか参考にしてほしい問題があるので、あげておきます。
医師111D10 感染症法に基づき、すべての医師がすべての患者の発生について届出をおこなうのはどれか。
a. 水痘
b. 梅毒
c. 突発性発疹
d. 伝染性紅斑
e .性器ヘルペス
医師111D14 HTLV-1について正しいのはどれか。2つ選べ。
a. レトロウイルスである。
b. CD8陽性T細胞に感染する
c. 感染経路は母乳がほとんどである。
d. 感染者は日本では東日本地域が多い
e. 感染から成人T細胞白血病の発症までの期間は5年以内である。
医師111I4 誤嚥性肺炎の原因微生物として頻度が高いのはどれか。
a. 腸球菌属
b. 放線菌属
c. Candida属
d. 連鎖球菌属
e. Pseudomonas属
医師111I24 嘔吐と下痢を伴うウイルス性胃腸炎が強く疑われる児の汚物を処理する際に用いられる消毒薬として適切なのはどれか。
a. エタノール
b. ポピドンヨード
c. 塩化ベンザルコニウム
d. 次亜塩素酸ナトリウム
e. グルコン酸クロルヘキシジン
解説は、↓下のページに載せています。
ここ2年の臨床検査技師国家試験問題から
臨床検査技師国家試験にも、良い問題がちらほらありますので、見ておくと良いでしょう。
臨検 62午前73 結核と同じ感染経路別予防策が必要な疾患はどれか。(2016年)
臨検 62午後68 ウイルスとクラミジアに共通する特徴はどれか。(2016年)
1.二分裂で増殖する。
2.リボソームを有する。
3.抗生物質に感受性がある。
4.光学顕微鏡で観察できる。
5.増殖には生きた細胞が必要である。
↓解説は、こちら
臨検63午後68 グラム陽性菌とグラム陰性菌に共通する細胞壁の構成成分はどれか。(2017年)
1.タイコ酸
2.リン脂質
3.リポ多糖体
4.ペプチドグリカン
5.(1→3)-β-D-グルカン
臨検63午後79 細胞傷害性T細胞のT細胞レセプターで正しいのはどれか。(2017年)
1.遺伝子の再構成は起きない。
2.MHC クラスⅡ拘束性を持つ。
3.CD4 分子と共同して機能する。
4.抗原提示細胞からの刺激を受ける。
5.α鎖、β 鎖、γ 鎖およびδ 鎖からなる四量体である。
↓解説は、こちら
2017年 薬剤師国家試験から
問14 真菌に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 ミトコンドリアをもたない。
2 エルゴステロールを含む細胞膜をもつ。
3 葉緑体をもつ。
4 細胞壁をもたない。
5 原核生物に分類される。
問118 免疫系における胸腺の役割に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 T細胞の前駆細胞は骨髄で作られた後、胸腺に移動して分化・成熟する。
2 胸腺において、T細胞抗原受容体の遺伝子の再構成が起こる。
3 胸腺は、成人において造血が行われる主要な器官である。
4 胸腺は、二次リンパ器官の一つである。
5 B細胞は主として胸腺で産生され、リンパ節で分化・成熟する。
問233 院内感染を予防するために、陰圧個室に患者を収容するなど空気感染対策をとる必要がある感染症はどれか。2つ選べ。
1 水痘
2 結核
3 クロストリジウム・ディフィシル感染症
4 マイコプラズマ感染症
5 ノロウイルス感染症
問234-235 20歳女性。性感染症の薬物治療のため薬局に処方箋を持参した。
問234(実務)
薬剤師は服薬指導の際、厚生労働省の資料を基に作成したリーフレットを手渡した。下図はリーフレットの一部である。A は、陰部に潰瘍ができたり、リンパ節の腫れ、全身の発疹などの症状を呈する。A にあてはまる感染症はどれか。1つ選べ。
1 淋菌感染症
2 性器クラミジア感染症
3 性器ヘルペスウイルス感染症
4 尖圭コンジローマ
5 梅毒
問235(衛生) 次の性感染症のうち、感染症発生動向調査において全数把握対象疾患として規定されているのはどれか。1つ選べ。
1 淋菌感染症
2 性器クラミジア感染症
3 性器ヘルペスウイルス感染症
4 尖圭コンジローマ
5 梅毒
↓解説は、こちらで御覧ください。
歯科医師国家試験問題解説書―解説書/写真集/問題集〈第110回(2018)〉
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2018年(平成30年)の国家試験日程
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今年も、国家試験の季節になりました。
2018年(平成30年)の国家試験日程を確認します。
(追記:合格発表日も掲載します。正確には、厚労省のサイトを確認してください。)
歯科医師国家試験(第111回)
平成30年2月3日(土曜日)、2月4日(日曜日)
合格発表日:3月19日
医師国家試験(第112回)
平成30年2月10日(土曜日)、2月11日(日曜日)
合格発表日:3月19日
看護師国家試験(第107回)
平成30年2月18日(日曜日)
合格発表日:3月26日
臨床検査技師国家試験(第64回)
平成30年2月21日(水曜日)
合格発表日:3月27日
薬剤師国家試験(第103回)
平成30年2月24日(土曜日)、2月25日(日曜日)
合格発表日:3月27日
歯科衛生士国家試験(第27回)
平成30年3月4日(日曜日)
合格発表日:3月28日
全ては手が回っていませんが、いくつかの試験の微生物学・免疫学の予想問題をまた近いうちに載せたいと思います。
医療系学生のための微生物学・免疫学トレーニング: 「考える力」をつけてCBT・国家試験合格へ (まるまる教育出版)
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2017年 歯科衛生士国家試験から
<お知らせ>2018年の予想もしました。kogumakita.hatenablog.jp
2017年の歯科衛生士国家試験(第27回)から、微生物・免疫学の問題を抜き出します。
全ての問題には解説をつけていませんが、とりあえずあげています。
<今回の感想>
- 考える力が試されるような問題はあまり多くなかった。
- 基本的な知識を素直に問う問題が増えた(ただし、単なる暗記ではなく、理解していることを問われる)。
※※ 考える力を試される、重要な問題
※ 重要な知識を問う問題
※ 2017午前5
電子伝達系が存在するのはどれか。
細胞膜
核小体
ゴルジ装置
- 電子伝達系は、ミトコンドリアでのATP産生の最終段階です。
※※ 2017午前9
エイズの発生機序に関与するのはどれか。
自己抗体の産生
IgE抗体の産生
補体依存性細胞傷害
ヘルパーT細胞の減少
- AIDSの原因ウイルスであるHIVは、gp120というタンパク質を用いて、ヘルパーT細胞などの表面に発現しているCD4受容体を認識して、感染します。数年をかけて、感染したヘルパーT細胞が減少し、免疫不全状態になります。
※ この問題、よくみると、予想が当たったいました!2016年の歯科医師国家試験に似た問題があり、予想でとりあげていました。
2017午前11)
中枢リンパ組織<一次リンパ組織>はどれか。
胸腺
扁桃腺
リンパ節
2017午前12)図あり
歯肉縁上プラークの形成過程における細菌の構成比の経日変化を図に示す。縦軸は対数目盛である。
矢印が示すのはどれか。
Neisseria
Actinomyces
Streptococcus
Fusobacterium
2017午前13)図あり
う蝕発症に関わる糖の構造を図に示す。
この糖はどれか。
グルカン
フルクトース
※ 2017午前15
口腔カンジダ症の治療に用いられる抗菌薬はどれか。
イミダゾール系
テトラサイクリン系
- 抗真菌薬の種類を整理すること。
真菌の細胞膜に存在するエルゴステロール*1に結合して細胞膜を傷害する、ポリエン系抗真菌薬(例:アムホテリシンB)。
エルゴステロールの合成を阻害するアゾール系抗真菌薬(例:フルコナゾール)。
真菌細胞壁成分であるβ-グルカンの合成を阻害する、キャンディン系などがあります。
2017午前35
金属アレルギー検査はどれか。2つ選べ。
パッチテスト
薬剤感受性試験
DLST<薬剤誘発性リンパ球刺激試験>
※ 2017午前37
手指の消毒に使用するのはどれか。2つ選べ。
グルタールアルデヒド
クロルヘキシジングルコン酸塩
- 2年ほど前の、表の問題を理解していれば、易しい問題です。
グルタルアルデヒドは高水準消毒薬であり最も強力ですが、人体には使用できません。
次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬で、場合によっては人体に使うこともあるようですが、基本的にはあまり使いたくありません。
クロルヘキシジンやポビドンヨードは手指消毒に使用します。
ただし、ポビドンヨードは腐食性のため金属には使用しない、クロルヘキシジンは日本では粘膜に使用しないことを覚えておきましょう。
2017午前73
歯周病原細菌により引き起こされる可能性があるのはどれか。
菌血症
自臭症
遺伝性歯肉線維腫症
- 口腔内の細菌が血中に入ると、菌血症という状態になり得ます。観血的治療によっても、一時的に起こります。
ちなみに、菌血症は血液に微生物が入っただけの状態で、血液中で微生物が増殖した状態を敗血症といい、より深刻です。
※※ 2017午後5
O型血液で正しいのはどれか。
抗A抗体 抗B抗体
a あり あり
b なし あり
c あり なし
d なし なし
よくある問題。
A型にはA抗原、B型にはB抗原があります。
自己の抗原に対する抗体はできず(免疫寛容)、非自己に対する抗体が作られるということを理解していれば、簡単です。
※ 2017午後11
アナフィラキシー型アレルギーの発現に関与するのはどれか。
IgA
IgE
IgG
2017午後12)図あり
口腔内細菌のグラム染色像を別に示す。
考えられるのはどれか。
Treponema denticola
Streptococcus mutans
Actinomyces naeslundii
Porphyromonas gingivalis
2017午後15
アナフィラキシーショックによる呼吸困難やチアノーゼに対して投与すべき薬剤はどれか。
アドレナリン
ニフェジピン
※ 2017午後16
口腔細菌と病原性の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
Lactobacillus casei – 酸産生
Streptococcus sobrinus – 毒素産生
Fusobacterium nucleatum – グルカン産生
Porphyromonas gingivalis – タンパク質分解酵素産生
2017午後19
う蝕リスクを高めるのはどれか。
リパーゼ
デキストラナーゼ
ペルオキシダーゼ
グルコシルトランスフェラーゼ
- GTFによって、スクロースから不溶性グルカンがつくられ、その中に細菌がつくる酸がたまることでpHが低下し、エナメル質の脱灰が起こると考えられています。
2017午後24
□に入るのはどれか。
感染性廃棄物とは、医療機関等から生じ、人が感染し、もしくは感染するおそれのある□が含まれる可能性のある廃棄物をいう。
病原体
危険物質
汚染物質
有害物質
2017午後25
食中毒の原因別月別発生数<件数>を図に示す。
ノロウイルスによるのはどれか。
①②③④
2017午後35
細菌感染が疑われる患者のスクリーニング検査で指標となるのはどれか。2つ選べ。
CRP値
赤血球数
白血球数
血小板数
2017午後36
根管洗浄用プラスチックシリンジの感染予防対策で有効なのはどれか。
薬液消毒
乾熱滅菌
紫外線消毒
低温プラズマ滅菌
- 根管に挿入するとすると、滅菌が必要と考えられます。そして、乾熱滅菌(180℃)は高温すぎてプラスチックには使用できません。低温プラズマ滅菌が適切と考えられます。
2017午後71
図あり
60歳の男性。歯根の露出、冷水痛および義歯の不具合を訴えて来院した。口腔診査終了後に検査を行い、次の結果を得た。<総菌数、S. mutans菌数、Candida検出なしなど>
この結果から考えられるのはどれか。
口腔乾燥
重度歯周炎
義歯の清掃不良
2017午後72
慢性歯周炎と比較した場合の侵襲性歯周炎の特徴はどれか。2つ選べ。
老年期に発症する。
組織破壊の進行が速い。
水平性骨吸収が認められる。
組織破壊量と比較して歯石沈着量が少ない。
2017午後73
歯周病と双方向のリスクが考えられるのはどれか。
糖尿病
誤嚥性肺炎
虚血性心疾患
低体重児出産
2017午後88
非う蝕性甘味料はどれか。2つ選べ。
フルクトース
2017午後108
金属アレルギーのパッチテストを受ける患者への注意事項で正しいのはどれか。2つ選べ。
パッチは毎日交換する。
運動を控えるようにする。
清潔に保つために毎日入浴する。
痒みがひどくなったら検査を中止する。
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2017年 臨床検査技師国家試験のうち、基本的な問題
2017年の第63回 臨床検査技師国家試験から、微生物・免疫学に関連する基本的な問題をとりあげます。
※※いくつか、考えさせる良い問題があったように思います。その問題は赤星2つつけました。
※考えさせるというほどではないけど、基本的な良問は赤星1つです。
※午前7
皮膚に付着していた虫体(体長2.5 mm)の写真(別冊No. 2)を別に示す。
この虫が引き起こすのはどれか。
1.疥癬
2.ペスト
3.発疹チフス
4.ツツガムシ病
<ポイント>
近年話題の5.SFTSを答えさせたい問題に見えるが、1も正解となった。
5.のSFTSはマダニに媒介されるウイルス感染症で、病原体はSFTSウイルスです。
2010年代に中国で初めて報告された新興感染症と言えます。
疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる皮膚の病気で、ダニそのものが病原体である感染症です。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa6/index.html
SFTSを媒介するフタトゲチマダニの体長は、成虫で約3mm、血を吸った状態で約10mmです。
一方、疥癬の原因となるヒゼンダニの体長は、成虫で約0.4mmだそうです。
問題文の、「体長2.5mm」という情報からも、マダニであると考えられるのですが、体長(と写真)の情報だけから1.の疥癬を排除するのは適切ではないということなのか、1と5が正解となったのだと思われます。
<1,5>
※午前68
ウイルスで正しいのはどれか。
1.核膜がある。
2.単細胞である。
3.有糸分裂する。
4.プラスミドを有する。
5.偏性細胞内寄生体である。
<ポイント>
ウイルスの性質に関する基本問題です。
一言でいうと、ウイルスは生物ではなく、1~4は当てはまりません。
(すべての)ウイルスは偏性細胞内寄生体ですので、5が正解です。
偏性細胞内寄生体には他に、クラミジアやリケッチアという特殊な細菌があります。
※午前72
作用機序と抗菌薬の組合せで正しいのはどれか。
1.細胞質膜障害― アミノグリコシド系
2.核酸合成阻害― グリコペプチド系
3.蛋白合成阻害― テトラサイクリン系
<ポイント>
抗菌薬の作用機序に関する基本問題。
テトラサイクリン系は、細菌の30Sリボソームに結合して、タンパク質合成を阻害します。
その他は、自分で調べてみてください。
1.梅毒
2.オウム病
3.腸チフス
4.感染性心内膜炎
5.ニューモシスチス肺炎
<ポイント>
真菌感染症で、AIDSの指標疾患でもあります。
<5>
午前77
プリオン蛋白が病原因子となる疾患はどれか。2つ選べ。
1.急性灰白髄炎
2.ウシ海綿状脳症
3.Burkitt リンパ腫
4.亜急性硬化性全脳炎
5.Creutzfeldt-Jakob病
<ポイント>
プリオン病には、2.のBSE(狂牛病)や、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病やクールー、ヒツジのスクレイピーなどがあります。
午前78
Aspergillus fumigatusの模式図(別冊No. 16)を別に示す。矢印で示すのはどれか。
1.頂囊
2.分生子
3.メツラ
4.分生子柄
5.フィアライド
<ポイント>
カトリックの聖水をかける儀式に使われる容器を、アスペルギルムと呼ぶそうです。
その形に似ていることから、アスペルギルスという真菌の名前がついたそうです。
アスパラガスも同じ語源という話もあります。
アスペルギルスの形は、特徴的なので、写真を見ればわかります。
ただ、この「矢印で示すのはどれか?」という問題は、ちょっと細かい知識ですね。
<1>
※午前79
免疫寛容の破綻が発症原因となる疾患はどれか。
1.花粉症
2.関節リウマチ
3.接触性皮膚炎
4.移植片対宿主病
5.血液型不適合妊娠
<ポイント>
自己免疫疾患のひとつです。自己に対する免疫応答が起こってしまいます。
他の選択肢はそれぞれ、外来(非自己)の抗原に対する反応であり、免疫寛容の破綻が原因ではありません。
(免疫寛容とは、自己成分に対しては免疫反応が起きない現象・仕組みのことです。)
<2>
※※午前80
免疫応答で正しいのはどれか。
1.一次反応でIgMはIgGに遅れて出現する。
2.二次反応でIgMは出現しない。
3.二次反応で記憶B細胞が生じる。
4.二次反応は初回と異なる抗原を2回目に投与したとき起きる。
5.一次反応より二次反応の方が多くの抗体が産生される。
<ポイント>
一次反応と二次反応の違いをよく理解できていれば、簡単です。正解は5。
1.一次反応ではIgMが先に出現するのが特徴です。
2.二次反応でも、IgGよりは少なくなりますが、IgMも産生されます。
3.一次反応で記憶B細胞が産生されるので、二次反応で迅速に反応できます。
4.経験済みの抗原に再びさらされることで、二次反応がおきます(記憶細胞がつくられているから)。
初めて経験する異なる抗原が入ってくると、それはまた一次反応が起こります。
午前81
補体で正しいのはどれか。
1.血中濃度はC4が最も高値である。
2.レクチン経路は獲得免疫に関与する。
3.C3bはアナフィラトキシンとして作用する。
4.B因子は古典的経路と副経路の両方に関与する。
5.C1 複合体形成にカルシウムイオンを必要とする。
<ポイント>
これはやや細かい理解を問われていますが、補体は重要です。
<5>
午前82 生ワクチンはどれか。
1.麻疹
2.A型肝炎
3.B型肝炎
4.肺炎球菌
5.破傷風トキソイド
<ポイント>
基礎的な知識。
生ワクチンが使用される病原体は限られているので、覚えてしまえばよい。
麻疹・風疹・水痘・ロタ・ムンプス・BCGなど。
<1>
午前84
Ⅲ型アレルギー性疾患はどれか。
1.膜性腎症
2.Basedow病
3.アトピー性皮膚炎
4.自己免疫性溶血性貧血
5.特発性血小板減少性紫斑病<ITP>
<1>
午前86
ABO式血液型判定で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ウラ検査は血球濃度10%で行う。
2.オモテ検査とウラ検査を両方行う。
3.カラム法では部分凝集が判定できない。
4.部分凝集がみられるときは亜型の可能性がある。
5.スライド法では判定用抗体滴下後5秒以内に判定する。
<24>
※午前100
エチレンオキサイドガス滅菌の特徴はどれか。
1.薬液の滅菌ができる。
2.紙製の包材は使用できない。
3.160 ℃で60 分間の加熱をする。
4.絶対気圧2kg/cm2以上に加圧する。
5.滅菌後に充分なエアレーションが必要である。
<ポイント>
人体にも有害な有毒ガスなので、使用後のガスの吸着・屋外への排出が必要である。
<5>
午後
午後9
PCR法で使用しないのはどれか。
1.制限酵素
2.プライマー
3.マグネシウムイオン
4.耐熱性 DNAポリメラーゼ
5.デオキシリボヌクレオシド三リン酸
<ポイント>お決まりの問題
<1>
10 体細胞の有糸分裂が起こるのはどれか。
1.G0 期
2.G1 期
3.G2 期
4.M 期
5.S 期
<ポイント>有糸分裂Mitosisが起こるのがM期
※午後29
ATP産生に関与しないのはどれか。
1.解糖系
2.β 酸化
3.尿素回路
4.電子伝達系
5.クエン酸回路
<3>
※午後37
蛋白質の生合成で誤っているのはどれか。
1.転写は核内で行われる。
2.翻訳はリボソームで行われる。
3.プロモーター領域に転写因子が結合する。
4.アミノアシル-tRNAの生合成にはATPが必要である。
5.転写にはRNA依存性DNAポリメラーゼが必要である。
<ポイント>
5.転写はDNAの情報をRNAに写し取ることであるが、ここに必要なのはDNA依存性RNAポリメラーゼである。
(DNAを鋳型として、RNA鎖を合成する)
<5>
※午後67
リンパ球で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.B 細胞は骨髄で産生される。
2.NK 細胞は免疫グロブリンを産生する。
3.成熟T細胞はトロンボポエチンを産生する。
4.成熟B 細胞は細胞表面に補体レセプターを持つ。
5.健常成人の末梢血ではT細胞よりもB 細胞が多い。
<14>
※※午後68
グラム陽性菌とグラム陰性菌に共通する細胞壁の構成成分はどれか。
1.タイコ酸
2.リン脂質
3.リポ多糖体
4.ペプチドグリカン
5.(1→3)-β-D-グルカン
<ポイント>
基本的な問題であるが、暗記というよりは、ちゃんと理解していて、その場で考えられる力がいる。
タイコ酸はグラム陽性菌の細胞壁に、リポ多糖は陰性菌の外膜に含まれる。
リン脂質は細胞膜の成分であり、細胞壁成分ではない。
βグルカンは、真菌の細胞壁成分。
午後69
DNAウイルスはどれか。
1.風疹ウイルス
2.デングウイルス
3.エボラウイルス
4.A型肝炎ウイルス
5.B 型肝炎ウイルス
知っているかどうかの問題。
※午後71
プラスミドで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.RNAである。
2.一本鎖である。
3.細胞質内に存在する。
4.ウイルスの構成成分である。
5.抗菌薬耐性の情報を伝達する。
<ポイント>
プラスミドとはどういうものかを理解していればよい。
普通は二本鎖のDNAである。ウイルスの構成成分ではない。
<15>
午後73
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律<感染症法>で三類感染
症はどれか。
1.結核
2.ペスト
3.ジフテリア
<5>
77 ワクチン接種で予防可能な髄膜炎の原因菌はどれか。2つ選べ。
1.Escherichia coli
2.Haemophilus influenzae
3.Neisseria meningitidis
4.Streptococcus agalactiae
5.Streptococcus pneumonia
三種類の組合せが正解となったようである。
<25,23,35>
※※午後79
細胞傷害性T細胞のT細胞レセプターで正しいのはどれか。
1.遺伝子の再構成は起きない。
2.MHC クラスⅡ拘束性を持つ。
3.CD4 分子と共同して機能する。
4.抗原提示細胞からの刺激を受ける。
5.α鎖、β 鎖、γ 鎖およびδ 鎖からなる四量体である。
<ポイント>
1. T細胞レセプター(TCR)とB細胞レセプター(BCR)にはVDJ組み換えという遺伝子再構成が起きる。
2.3. 細胞傷害性T細胞(CTL)はCD8陽性T細胞であり、CB8はMHCクラスⅠと結合することで、提示された抗原をTCRが認識するのを助ける。
5. 二量体のはず。
※午後80
免疫グロブリンで正しいのはどれか。
1.IgAは胎盤通過性がある。
2.IgD はT細胞に存在する。
3.IgE は肥満細胞に結合する。
4.IgG は補体活性化能がない。
5.IgM は分泌成分と結合している。
<3>
※午後82 B型肝炎ウイルスワクチンの効果を判定する検査はどれか。
1.HBc 抗体
2.HBe 抗原
3.HBe 抗体
4.HBs抗原
5.HBs抗体
<ポイント>
HBVの表面(surface)に存在する抗原であるHBsがワクチンとして用いられる。
HBsに対する抗体が産生されているかによって、ワクチン効果を判定する。
<5>
※午後84
ヒト免疫不全ウイルス<HIV>の標的分子はどれか。
1.CD1
2.CD4
3.CD8
4.CD20
5.CD34
<ポイント>
ウイルス表面のgp120というタンパク質によって、CD4陽性細胞(ヘルパーT細胞など)のCD4を認識して感染する。
<2>
↓このページの内容に質問等があれば、こちらへどうぞ。
↓演習本をつくりました
↓ 2020年に改訂しました。学習用によかったらどうぞ!