予想問題 2018年 歯科衛生士国家試験(微生物・免疫学分野)
2018年3月4日は、第28回歯科衛生士国家試験です。
微生物・免疫学分野の出題を予想、というほどではないですがいくつかの可能性をあげたいと思います。今年の出題予想というよりは、いつ出てもおかしくないような、基本事項の確認と思ってください。
↓まず、2017年の予想はこちらでした。たまたま少しだけ、当たりがありました。昨年書いたことは、今年も引き続き当てはまると思ってもらって良いでしょう。
↓実際の2017年の国家試験問題
↓「出題予想」ということで言えば、歯科医師国家試験と歯科衛生士国家試験は、お互いの問題を参考にして出題されている(あるいは同じ先生が出題している?)と思われることがあるので、2017年の歯科医師国家試験だけは見ておきたいと思います。
・2017年の歯科医師国家試験から、歯科衛生士でも出そうなテーマを拾います。
細菌の細胞壁分解能を有するのはどれか。1つ選べ。
a アミラーゼ
b リゾチーム
c デイフェンシン
d ラクトフェリン
e ペルオキシダーゼ
細菌の細胞壁の主な成分は何か、そもそも答えられますか?
ペプチドグリカンです。
ペグチドグリカンの、N-アセチルグルコサミンNAG とN-アセチルムラミン酸NAMの間の結合を切断する酵素がリゾチームです。粘液、唾液、涙、母乳などに分泌されます。卵白にも多く含まれています。
110A9 好中球の貧食活性を高めるのはどれか。1つ選べ。
a IgA
b IgD
c IgE
d IgG
e IgM
食細胞による貪食を促進する効果をオプソニン効果といいます。ギリシャ語でオプソンopsonとは、主食の他のおかずを指すそうです。ふりかけをイメージしたほうがいいかもしれませんが、病原体にオプソニン効果のある成分がかかっていると、食細胞にとって、とっても美味しそうに見えるわけです。補体や、免疫グロブリンではIgGにこの作用があります。実際のところは貪食細胞は、補体レセプターやFcレセプターによって、病原体に張り付いたこれらの成分を認識し、貪食します。
もうひとつ重要なことは、オプソニン作用を有するものには、IgGの他に、補体があるということです。補体は自然免疫の成分で、抗体のように特定の病原体に対する認識ではありませんが、大まかに細菌に張り付いたりすることができます。実は、2018年の歯科医師国家試験にも、これを問われる問題がでていました。
110A14 ABO式血液型検査に用いられる反応はどれか。1つ選べ。
a 凝集反応
b 中和反応
c 沈降反応
d 溶解反応
e 補体結合反応
例えば、A型の赤血球にはA抗原が存在し、B抗原は存在しません。そこに抗A抗体をかけると肉眼で分かる凝集が起こります。抗B抗体では起こりません。これにより血液型を判定します。
血液型に関する問題は、歯科衛生士ではよくでます。もう一度整理しておいてください。
110A17 スタンダードプレコーションで感染性物質として扱わないのはどれか。1つ選ベ。
a 汗
b 涙
c 喀痰
d 唾液
e 鼻汁
汗以外の全ての体液を対象とします。
110A32 ミュータンスレンサ球菌の合成する不溶性グルカンの構成単位はどれか。1つ選べ。
a グルコース
b スクロース
c ガラクトース
d グルコサミン
e フルクトース
グルカンというのは、グルコースの重合体です。繋がり方によって、様々な種類があります。来年はつながり方の問題がでるかも?
これは単純ですが、いい問題ですね。当然知っておいて欲しいことですが、ちゃんと答えられない人も多いかもしれません。出題されるかもしれません。
110A120 血中βーグルカン値が診断に用いられるのはどれか。1つ選べ。
a B型肝炎
b 帯状疱疹
c 深在性真菌症
e 化膿レンサ球菌感染症
実はこの問題は、何年か前にも歯科医師国家試験し出題された問題です。検査値や診断についての知識がなくても、「考える力」で正解できます。
β-グルカンといえば、真菌の細胞壁成分です。(細菌の細胞壁はペプチドグリカン)。よって、深在性真菌症のように体内に真菌が感染していると、血中のβ-グルカン値が高くなると考えればよいです。
110C16 B型肝炎ウイルスの感染予防に有効な消毒薬はどれか。1つ選べ。
a ポビドンヨード
b 消毒用エタノール
c 塩化ベンザルコニウム
e グルコン酸クロルヘキシジン
B型肝炎ウイルスって、病原体の中でも消毒に対する抵抗性が強い部類のようです。この中でB型肝炎に有効とされるのは、、、? この中で一番作用が強い、次亜塩素酸ナトリウムですね。
110C24 院内感染対策で正しいのはどれか。1つ選べ。
a 外国感染は対象としない。
b 病院スタッフは対象外である。
c 消毒・滅菌は対策の一つである。
d 抗菌薬の使用方法とは無関係である。
e 一般社会環境と同様の対策をとることが望ましい。
院内で感染を拡大させないために必要なことは??と考えれば正解できそうです。病院スタッフも対象となります。
eについては、院内には高齢者などの易感染性宿主も居ますので、一般環境と同じという訳にはいかないと考えます。
d 抗菌薬の乱用により、耐性菌が増加・感染拡大する危険があるので、無関係ではありません。
110C113 原虫感染症はどれか。1つ選べ。
a オウム病
b 日本紅斑熱
c ハンセン病
d アスペルギルス症
e トキソプラズマ症
原虫とはなにか?原虫による感染症にはどのようなものがあるか?病原体の分類の基本です。
以上、参考にしてください。
試験がんばってください!
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↓全然当たりませんでしたが、今年の歯科医師国家試験の予想もしました。