医療系国家試験の微生物・免疫学分野の出題傾向を分析する

医師・歯科医師・薬剤師・臨床検査技師・看護師・歯科衛生士などの国家試験から生物・微生物・免疫学の問題を集めて受験生に役立ててほしいという趣旨です。出題傾向の分析や予想もしていきたいです。

2017年 歯科衛生士国家試験から

2017年の歯科衛生士国家試験(第27回)から、微生物・免疫学の問題を抜き出します。

 

全ての問題には解説をつけていませんが、とりあえずあげています。

<今回の感想>

  • 考える力が試されるような問題はあまり多くなかった。
  • 基本的な知識を素直に問う問題が増えた(ただし、単なる暗記ではなく、理解していることを問われる)。

 


※※ 考える力を試される、重要な問題
  重要な知識を問う問題

 2017午前5
電子伝達系が存在するのはどれか。

細胞膜

核小体

ゴルジ装置

ミトコンドリア


※※ 2017午前9
エイズの発生機序に関与するのはどれか。

自己抗体の産生

IgE抗体の産生

補体依存性細胞傷害

ヘルパーT細胞の減少

  • AIDSの原因ウイルスであるHIVは、gp120というタンパク質を用いて、ヘルパーT細胞などの表面に発現しているCD4受容体を認識して、感染します。数年をかけて、感染したヘルパーT細胞が減少し、免疫不全状態になります


2017午前11)
中枢リンパ組織<一次リンパ組織>はどれか。

脾臓

胸腺

扁桃

リンパ節

 

2017午前12)図あり

歯肉縁上プラークの形成過程における細菌の構成比の経日変化を図に示す。縦軸は対数目盛である。

矢印が示すのはどれか。

Neisseria

Actinomyces

Streptococcus

Fusobacterium

 

2017午前13)図あり

う蝕発症に関わる糖の構造を図に示す。

この糖はどれか。

グルカン

グルコース

スクロース

フルクトース

 

 2017午前15

口腔カンジダ症の治療に用いられる抗菌薬はどれか。

セフェム系

ペニシリン

イミダゾール系

テトラサイクリン系

  • 抗真菌薬の種類を整理すること。

真菌の細胞膜に存在するエルゴステロール*1に結合して細胞膜を傷害する、ポリエン系抗真菌薬(例:アムホテリシンB)。
エルゴステロールの合成を阻害するアゾール系抗真菌薬(例:フルコナゾール)。
真菌細胞壁成分であるβ-グルカンの合成を阻害する、キャンディン系などがあります。

 

2017午前35

金属アレルギー検査はどれか。2つ選べ。

パッチテスト

薬剤感受性試験

ガスクロマトグラフィー

DLST<薬剤誘発性リンパ球刺激試験>

 

 2017午前37
手指の消毒に使用するのはどれか。2つ選べ。

ポビドンヨード

グルタールアルデヒド

次亜塩素酸ナトリウム

クロルヘキシジングルコン酸塩

 

  • 2年ほど前の、表の問題を理解していれば、易しい問題です。

グルタルアルデヒドは高水準消毒薬であり最も強力ですが、人体には使用できません
次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬で、場合によっては人体に使うこともあるようですが、基本的にはあまり使いたくありません。
クロルヘキシジンやポビドンヨードは手指消毒に使用します。
ただし、ポビドンヨードは腐食性のため金属には使用しないクロルヘキシジンは日本では粘膜に使用しないことを覚えておきましょう。

 

2017午前73 
歯周病原細菌により引き起こされる可能性があるのはどれか。

菌血症

自臭症

骨粗鬆症

遺伝性歯肉線維腫症

  • 口腔内の細菌が血中に入ると、菌血症という状態になり得ます。観血的治療によっても、一時的に起こります。

ちなみに、菌血症は血液に微生物が入っただけの状態で、血液中で微生物が増殖した状態を敗血症といい、より深刻です


 2017午後5

O型血液で正しいのはどれか。

抗A抗体 抗B抗体

a あり あり

b なし あり

c あり なし

d なし なし

よくある問題。
A型にはA抗原、B型にはB抗原があります。
自己の抗原に対する抗体はできず(免疫寛容)、非自己に対する抗体が作られるということを理解していれば、簡単です。


 2017午後11

アナフィラキシー型アレルギーの発現に関与するのはどれか。

IgA

IgE

IgG

IgM

 

2017午後12)図あり

口腔内細菌のグラム染色像を別に示す。

考えられるのはどれか。

Treponema denticola

Streptococcus mutans

Actinomyces naeslundii

Porphyromonas gingivalis

 

2017午後15

アナフィラキシーショックによる呼吸困難やチアノーゼに対して投与すべき薬剤はどれか。

アスピリン

アドレナリン

ニフェジピン

アセチルコリン

 

 2017午後16

口腔細菌と病原性の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

Lactobacillus casei – 酸産生

Streptococcus sobrinus – 毒素産生

Fusobacterium nucleatum – グルカン産生

Porphyromonas gingivalis – タンパク質分解酵素産生

  • P. gingivalisのジンジバインというタンパク質分解酵素は、免疫グロブリンを分解することができます

 

2017午後19

う蝕リスクを高めるのはどれか。

リパーゼ

デキストラナーゼ

ペルオキシダーゼ

グルコシルトランスフェラーゼ

  • GTFによって、スクロースから不溶性グルカンがつくられ、その中に細菌がつくる酸がたまることでpHが低下し、エナメル質の脱灰が起こると考えられています。

 

2017午後24
□に入るのはどれか。

 感染性廃棄物とは、医療機関等から生じ、人が感染し、もしくは感染するおそれのある□が含まれる可能性のある廃棄物をいう。

病原体

危険物質

汚染物質

有害物質

 

2017午後25
食中毒の原因別月別発生数<件数>を図に示す。

ノロウイルスによるのはどれか。

①②③④

 

2017午後35

細菌感染が疑われる患者のスクリーニング検査で指標となるのはどれか。2つ選べ。

CRP

赤血球

白血球数

血小板数

 

2017午後36

根管洗浄用プラスチックシリンジの感染予防対策で有効なのはどれか。

薬液消毒

乾熱滅菌

紫外線消毒

低温プラズマ滅菌

  • 根管に挿入するとすると、滅菌が必要と考えられます。そして、乾熱滅菌(180℃)は高温すぎてプラスチックには使用できません。低温プラズマ滅菌が適切と考えられます。

 

2017午後71

図あり

60歳の男性。歯根の露出、冷水痛および義歯の不具合を訴えて来院した。口腔診査終了後に検査を行い、次の結果を得た。<総菌数、S. mutans菌数、Candida検出なしなど>

この結果から考えられるのはどれか。

口腔乾燥

味覚障害

重度歯周炎

義歯の清掃不良

 

2017午後72

慢性歯周炎と比較した場合の侵襲性歯周炎の特徴はどれか。2つ選べ。

老年期に発症する。

組織破壊の進行が速い。

水平性骨吸収が認められる。

組織破壊量と比較して歯石沈着量が少ない。

 

2017午後73 

歯周病と双方向のリスクが考えられるのはどれか。

糖尿病

誤嚥性肺炎

虚血性心疾患

低体重児出産

 

2017午後88

非う蝕性甘味料はどれか。2つ選べ。

ラクトース

フルクトース

スクラロース

アスパルテーム

 

2017午後108 

金属アレルギーのパッチテストを受ける患者への注意事項で正しいのはどれか。2つ選べ。

パッチは毎日交換する。

運動を控えるようにする。

清潔に保つために毎日入浴する。

痒みがひどくなったら検査を中止する。

*1:動物細胞のコレステロールに相当。コレステロールエルゴステロールの違いにより、この種の抗真菌薬の選択毒性が発揮される