2018年(平成30年)の国家試験日程
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今年も、国家試験の季節になりました。
2018年(平成30年)の国家試験日程を確認します。
(追記:合格発表日も掲載します。正確には、厚労省のサイトを確認してください。)
歯科医師国家試験(第111回)
平成30年2月3日(土曜日)、2月4日(日曜日)
合格発表日:3月19日
医師国家試験(第112回)
平成30年2月10日(土曜日)、2月11日(日曜日)
合格発表日:3月19日
看護師国家試験(第107回)
平成30年2月18日(日曜日)
合格発表日:3月26日
臨床検査技師国家試験(第64回)
平成30年2月21日(水曜日)
合格発表日:3月27日
薬剤師国家試験(第103回)
平成30年2月24日(土曜日)、2月25日(日曜日)
合格発表日:3月27日
歯科衛生士国家試験(第27回)
平成30年3月4日(日曜日)
合格発表日:3月28日
全ては手が回っていませんが、いくつかの試験の微生物学・免疫学の予想問題をまた近いうちに載せたいと思います。
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2017年 歯科衛生士国家試験から
<お知らせ>2018年の予想もしました。kogumakita.hatenablog.jp
2017年の歯科衛生士国家試験(第27回)から、微生物・免疫学の問題を抜き出します。
全ての問題には解説をつけていませんが、とりあえずあげています。
<今回の感想>
- 考える力が試されるような問題はあまり多くなかった。
- 基本的な知識を素直に問う問題が増えた(ただし、単なる暗記ではなく、理解していることを問われる)。
※※ 考える力を試される、重要な問題
※ 重要な知識を問う問題
※ 2017午前5
電子伝達系が存在するのはどれか。
細胞膜
核小体
ゴルジ装置
- 電子伝達系は、ミトコンドリアでのATP産生の最終段階です。
※※ 2017午前9
エイズの発生機序に関与するのはどれか。
自己抗体の産生
IgE抗体の産生
補体依存性細胞傷害
ヘルパーT細胞の減少
- AIDSの原因ウイルスであるHIVは、gp120というタンパク質を用いて、ヘルパーT細胞などの表面に発現しているCD4受容体を認識して、感染します。数年をかけて、感染したヘルパーT細胞が減少し、免疫不全状態になります。
※ この問題、よくみると、予想が当たったいました!2016年の歯科医師国家試験に似た問題があり、予想でとりあげていました。
2017午前11)
中枢リンパ組織<一次リンパ組織>はどれか。
胸腺
扁桃腺
リンパ節
2017午前12)図あり
歯肉縁上プラークの形成過程における細菌の構成比の経日変化を図に示す。縦軸は対数目盛である。
矢印が示すのはどれか。
Neisseria
Actinomyces
Streptococcus
Fusobacterium
2017午前13)図あり
う蝕発症に関わる糖の構造を図に示す。
この糖はどれか。
グルカン
フルクトース
※ 2017午前15
口腔カンジダ症の治療に用いられる抗菌薬はどれか。
イミダゾール系
テトラサイクリン系
- 抗真菌薬の種類を整理すること。
真菌の細胞膜に存在するエルゴステロール*1に結合して細胞膜を傷害する、ポリエン系抗真菌薬(例:アムホテリシンB)。
エルゴステロールの合成を阻害するアゾール系抗真菌薬(例:フルコナゾール)。
真菌細胞壁成分であるβ-グルカンの合成を阻害する、キャンディン系などがあります。
2017午前35
金属アレルギー検査はどれか。2つ選べ。
パッチテスト
薬剤感受性試験
DLST<薬剤誘発性リンパ球刺激試験>
※ 2017午前37
手指の消毒に使用するのはどれか。2つ選べ。
グルタールアルデヒド
クロルヘキシジングルコン酸塩
- 2年ほど前の、表の問題を理解していれば、易しい問題です。
グルタルアルデヒドは高水準消毒薬であり最も強力ですが、人体には使用できません。
次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬で、場合によっては人体に使うこともあるようですが、基本的にはあまり使いたくありません。
クロルヘキシジンやポビドンヨードは手指消毒に使用します。
ただし、ポビドンヨードは腐食性のため金属には使用しない、クロルヘキシジンは日本では粘膜に使用しないことを覚えておきましょう。
2017午前73
歯周病原細菌により引き起こされる可能性があるのはどれか。
菌血症
自臭症
遺伝性歯肉線維腫症
- 口腔内の細菌が血中に入ると、菌血症という状態になり得ます。観血的治療によっても、一時的に起こります。
ちなみに、菌血症は血液に微生物が入っただけの状態で、血液中で微生物が増殖した状態を敗血症といい、より深刻です。
※※ 2017午後5
O型血液で正しいのはどれか。
抗A抗体 抗B抗体
a あり あり
b なし あり
c あり なし
d なし なし
よくある問題。
A型にはA抗原、B型にはB抗原があります。
自己の抗原に対する抗体はできず(免疫寛容)、非自己に対する抗体が作られるということを理解していれば、簡単です。
※ 2017午後11
アナフィラキシー型アレルギーの発現に関与するのはどれか。
IgA
IgE
IgG
2017午後12)図あり
口腔内細菌のグラム染色像を別に示す。
考えられるのはどれか。
Treponema denticola
Streptococcus mutans
Actinomyces naeslundii
Porphyromonas gingivalis
2017午後15
アナフィラキシーショックによる呼吸困難やチアノーゼに対して投与すべき薬剤はどれか。
アドレナリン
ニフェジピン
※ 2017午後16
口腔細菌と病原性の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
Lactobacillus casei – 酸産生
Streptococcus sobrinus – 毒素産生
Fusobacterium nucleatum – グルカン産生
Porphyromonas gingivalis – タンパク質分解酵素産生
2017午後19
う蝕リスクを高めるのはどれか。
リパーゼ
デキストラナーゼ
ペルオキシダーゼ
グルコシルトランスフェラーゼ
- GTFによって、スクロースから不溶性グルカンがつくられ、その中に細菌がつくる酸がたまることでpHが低下し、エナメル質の脱灰が起こると考えられています。
2017午後24
□に入るのはどれか。
感染性廃棄物とは、医療機関等から生じ、人が感染し、もしくは感染するおそれのある□が含まれる可能性のある廃棄物をいう。
病原体
危険物質
汚染物質
有害物質
2017午後25
食中毒の原因別月別発生数<件数>を図に示す。
ノロウイルスによるのはどれか。
①②③④
2017午後35
細菌感染が疑われる患者のスクリーニング検査で指標となるのはどれか。2つ選べ。
CRP値
赤血球数
白血球数
血小板数
2017午後36
根管洗浄用プラスチックシリンジの感染予防対策で有効なのはどれか。
薬液消毒
乾熱滅菌
紫外線消毒
低温プラズマ滅菌
- 根管に挿入するとすると、滅菌が必要と考えられます。そして、乾熱滅菌(180℃)は高温すぎてプラスチックには使用できません。低温プラズマ滅菌が適切と考えられます。
2017午後71
図あり
60歳の男性。歯根の露出、冷水痛および義歯の不具合を訴えて来院した。口腔診査終了後に検査を行い、次の結果を得た。<総菌数、S. mutans菌数、Candida検出なしなど>
この結果から考えられるのはどれか。
口腔乾燥
重度歯周炎
義歯の清掃不良
2017午後72
慢性歯周炎と比較した場合の侵襲性歯周炎の特徴はどれか。2つ選べ。
老年期に発症する。
組織破壊の進行が速い。
水平性骨吸収が認められる。
組織破壊量と比較して歯石沈着量が少ない。
2017午後73
歯周病と双方向のリスクが考えられるのはどれか。
糖尿病
誤嚥性肺炎
虚血性心疾患
低体重児出産
2017午後88
非う蝕性甘味料はどれか。2つ選べ。
フルクトース
2017午後108
金属アレルギーのパッチテストを受ける患者への注意事項で正しいのはどれか。2つ選べ。
パッチは毎日交換する。
運動を控えるようにする。
清潔に保つために毎日入浴する。
痒みがひどくなったら検査を中止する。
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2017年 臨床検査技師国家試験のうち、基本的な問題
2017年の第63回 臨床検査技師国家試験から、微生物・免疫学に関連する基本的な問題をとりあげます。
※※いくつか、考えさせる良い問題があったように思います。その問題は赤星2つつけました。
※考えさせるというほどではないけど、基本的な良問は赤星1つです。
※午前7
皮膚に付着していた虫体(体長2.5 mm)の写真(別冊No. 2)を別に示す。
この虫が引き起こすのはどれか。
1.疥癬
2.ペスト
3.発疹チフス
4.ツツガムシ病
<ポイント>
近年話題の5.SFTSを答えさせたい問題に見えるが、1も正解となった。
5.のSFTSはマダニに媒介されるウイルス感染症で、病原体はSFTSウイルスです。
2010年代に中国で初めて報告された新興感染症と言えます。
疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる皮膚の病気で、ダニそのものが病原体である感染症です。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa6/index.html
SFTSを媒介するフタトゲチマダニの体長は、成虫で約3mm、血を吸った状態で約10mmです。
一方、疥癬の原因となるヒゼンダニの体長は、成虫で約0.4mmだそうです。
問題文の、「体長2.5mm」という情報からも、マダニであると考えられるのですが、体長(と写真)の情報だけから1.の疥癬を排除するのは適切ではないということなのか、1と5が正解となったのだと思われます。
<1,5>
※午前68
ウイルスで正しいのはどれか。
1.核膜がある。
2.単細胞である。
3.有糸分裂する。
4.プラスミドを有する。
5.偏性細胞内寄生体である。
<ポイント>
ウイルスの性質に関する基本問題です。
一言でいうと、ウイルスは生物ではなく、1~4は当てはまりません。
(すべての)ウイルスは偏性細胞内寄生体ですので、5が正解です。
偏性細胞内寄生体には他に、クラミジアやリケッチアという特殊な細菌があります。
※午前72
作用機序と抗菌薬の組合せで正しいのはどれか。
1.細胞質膜障害― アミノグリコシド系
2.核酸合成阻害― グリコペプチド系
3.蛋白合成阻害― テトラサイクリン系
<ポイント>
抗菌薬の作用機序に関する基本問題。
テトラサイクリン系は、細菌の30Sリボソームに結合して、タンパク質合成を阻害します。
その他は、自分で調べてみてください。
1.梅毒
2.オウム病
3.腸チフス
4.感染性心内膜炎
5.ニューモシスチス肺炎
<ポイント>
真菌感染症で、AIDSの指標疾患でもあります。
<5>
午前77
プリオン蛋白が病原因子となる疾患はどれか。2つ選べ。
1.急性灰白髄炎
2.ウシ海綿状脳症
3.Burkitt リンパ腫
4.亜急性硬化性全脳炎
5.Creutzfeldt-Jakob病
<ポイント>
プリオン病には、2.のBSE(狂牛病)や、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病やクールー、ヒツジのスクレイピーなどがあります。
午前78
Aspergillus fumigatusの模式図(別冊No. 16)を別に示す。矢印で示すのはどれか。
1.頂囊
2.分生子
3.メツラ
4.分生子柄
5.フィアライド
<ポイント>
カトリックの聖水をかける儀式に使われる容器を、アスペルギルムと呼ぶそうです。
その形に似ていることから、アスペルギルスという真菌の名前がついたそうです。
アスパラガスも同じ語源という話もあります。
アスペルギルスの形は、特徴的なので、写真を見ればわかります。
ただ、この「矢印で示すのはどれか?」という問題は、ちょっと細かい知識ですね。
<1>
※午前79
免疫寛容の破綻が発症原因となる疾患はどれか。
1.花粉症
2.関節リウマチ
3.接触性皮膚炎
4.移植片対宿主病
5.血液型不適合妊娠
<ポイント>
自己免疫疾患のひとつです。自己に対する免疫応答が起こってしまいます。
他の選択肢はそれぞれ、外来(非自己)の抗原に対する反応であり、免疫寛容の破綻が原因ではありません。
(免疫寛容とは、自己成分に対しては免疫反応が起きない現象・仕組みのことです。)
<2>
※※午前80
免疫応答で正しいのはどれか。
1.一次反応でIgMはIgGに遅れて出現する。
2.二次反応でIgMは出現しない。
3.二次反応で記憶B細胞が生じる。
4.二次反応は初回と異なる抗原を2回目に投与したとき起きる。
5.一次反応より二次反応の方が多くの抗体が産生される。
<ポイント>
一次反応と二次反応の違いをよく理解できていれば、簡単です。正解は5。
1.一次反応ではIgMが先に出現するのが特徴です。
2.二次反応でも、IgGよりは少なくなりますが、IgMも産生されます。
3.一次反応で記憶B細胞が産生されるので、二次反応で迅速に反応できます。
4.経験済みの抗原に再びさらされることで、二次反応がおきます(記憶細胞がつくられているから)。
初めて経験する異なる抗原が入ってくると、それはまた一次反応が起こります。
午前81
補体で正しいのはどれか。
1.血中濃度はC4が最も高値である。
2.レクチン経路は獲得免疫に関与する。
3.C3bはアナフィラトキシンとして作用する。
4.B因子は古典的経路と副経路の両方に関与する。
5.C1 複合体形成にカルシウムイオンを必要とする。
<ポイント>
これはやや細かい理解を問われていますが、補体は重要です。
<5>
午前82 生ワクチンはどれか。
1.麻疹
2.A型肝炎
3.B型肝炎
4.肺炎球菌
5.破傷風トキソイド
<ポイント>
基礎的な知識。
生ワクチンが使用される病原体は限られているので、覚えてしまえばよい。
麻疹・風疹・水痘・ロタ・ムンプス・BCGなど。
<1>
午前84
Ⅲ型アレルギー性疾患はどれか。
1.膜性腎症
2.Basedow病
3.アトピー性皮膚炎
4.自己免疫性溶血性貧血
5.特発性血小板減少性紫斑病<ITP>
<1>
午前86
ABO式血液型判定で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ウラ検査は血球濃度10%で行う。
2.オモテ検査とウラ検査を両方行う。
3.カラム法では部分凝集が判定できない。
4.部分凝集がみられるときは亜型の可能性がある。
5.スライド法では判定用抗体滴下後5秒以内に判定する。
<24>
※午前100
エチレンオキサイドガス滅菌の特徴はどれか。
1.薬液の滅菌ができる。
2.紙製の包材は使用できない。
3.160 ℃で60 分間の加熱をする。
4.絶対気圧2kg/cm2以上に加圧する。
5.滅菌後に充分なエアレーションが必要である。
<ポイント>
人体にも有害な有毒ガスなので、使用後のガスの吸着・屋外への排出が必要である。
<5>
午後
午後9
PCR法で使用しないのはどれか。
1.制限酵素
2.プライマー
3.マグネシウムイオン
4.耐熱性 DNAポリメラーゼ
5.デオキシリボヌクレオシド三リン酸
<ポイント>お決まりの問題
<1>
10 体細胞の有糸分裂が起こるのはどれか。
1.G0 期
2.G1 期
3.G2 期
4.M 期
5.S 期
<ポイント>有糸分裂Mitosisが起こるのがM期
※午後29
ATP産生に関与しないのはどれか。
1.解糖系
2.β 酸化
3.尿素回路
4.電子伝達系
5.クエン酸回路
<3>
※午後37
蛋白質の生合成で誤っているのはどれか。
1.転写は核内で行われる。
2.翻訳はリボソームで行われる。
3.プロモーター領域に転写因子が結合する。
4.アミノアシル-tRNAの生合成にはATPが必要である。
5.転写にはRNA依存性DNAポリメラーゼが必要である。
<ポイント>
5.転写はDNAの情報をRNAに写し取ることであるが、ここに必要なのはDNA依存性RNAポリメラーゼである。
(DNAを鋳型として、RNA鎖を合成する)
<5>
※午後67
リンパ球で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.B 細胞は骨髄で産生される。
2.NK 細胞は免疫グロブリンを産生する。
3.成熟T細胞はトロンボポエチンを産生する。
4.成熟B 細胞は細胞表面に補体レセプターを持つ。
5.健常成人の末梢血ではT細胞よりもB 細胞が多い。
<14>
※※午後68
グラム陽性菌とグラム陰性菌に共通する細胞壁の構成成分はどれか。
1.タイコ酸
2.リン脂質
3.リポ多糖体
4.ペプチドグリカン
5.(1→3)-β-D-グルカン
<ポイント>
基本的な問題であるが、暗記というよりは、ちゃんと理解していて、その場で考えられる力がいる。
タイコ酸はグラム陽性菌の細胞壁に、リポ多糖は陰性菌の外膜に含まれる。
リン脂質は細胞膜の成分であり、細胞壁成分ではない。
βグルカンは、真菌の細胞壁成分。
午後69
DNAウイルスはどれか。
1.風疹ウイルス
2.デングウイルス
3.エボラウイルス
4.A型肝炎ウイルス
5.B 型肝炎ウイルス
知っているかどうかの問題。
※午後71
プラスミドで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.RNAである。
2.一本鎖である。
3.細胞質内に存在する。
4.ウイルスの構成成分である。
5.抗菌薬耐性の情報を伝達する。
<ポイント>
プラスミドとはどういうものかを理解していればよい。
普通は二本鎖のDNAである。ウイルスの構成成分ではない。
<15>
午後73
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律<感染症法>で三類感染
症はどれか。
1.結核
2.ペスト
3.ジフテリア
<5>
77 ワクチン接種で予防可能な髄膜炎の原因菌はどれか。2つ選べ。
1.Escherichia coli
2.Haemophilus influenzae
3.Neisseria meningitidis
4.Streptococcus agalactiae
5.Streptococcus pneumonia
三種類の組合せが正解となったようである。
<25,23,35>
※※午後79
細胞傷害性T細胞のT細胞レセプターで正しいのはどれか。
1.遺伝子の再構成は起きない。
2.MHC クラスⅡ拘束性を持つ。
3.CD4 分子と共同して機能する。
4.抗原提示細胞からの刺激を受ける。
5.α鎖、β 鎖、γ 鎖およびδ 鎖からなる四量体である。
<ポイント>
1. T細胞レセプター(TCR)とB細胞レセプター(BCR)にはVDJ組み換えという遺伝子再構成が起きる。
2.3. 細胞傷害性T細胞(CTL)はCD8陽性T細胞であり、CB8はMHCクラスⅠと結合することで、提示された抗原をTCRが認識するのを助ける。
5. 二量体のはず。
※午後80
免疫グロブリンで正しいのはどれか。
1.IgAは胎盤通過性がある。
2.IgD はT細胞に存在する。
3.IgE は肥満細胞に結合する。
4.IgG は補体活性化能がない。
5.IgM は分泌成分と結合している。
<3>
※午後82 B型肝炎ウイルスワクチンの効果を判定する検査はどれか。
1.HBc 抗体
2.HBe 抗原
3.HBe 抗体
4.HBs抗原
5.HBs抗体
<ポイント>
HBVの表面(surface)に存在する抗原であるHBsがワクチンとして用いられる。
HBsに対する抗体が産生されているかによって、ワクチン効果を判定する。
<5>
※午後84
ヒト免疫不全ウイルス<HIV>の標的分子はどれか。
1.CD1
2.CD4
3.CD8
4.CD20
5.CD34
<ポイント>
ウイルス表面のgp120というタンパク質によって、CD4陽性細胞(ヘルパーT細胞など)のCD4を認識して感染する。
<2>
↓このページの内容に質問等があれば、こちらへどうぞ。
↓演習本をつくりました
↓ 2020年に改訂しました。学習用によかったらどうぞ!
2017年 歯科医師国家試験問題から(微生物・免疫学分野)
2017年 平成29年に実施された、第110回歯科医師国家試験から、微生物学と免疫学の問題を抜粋し、コメントします。
<感想>
- 初めてざっと見た時は、特に目新しい問題もなく退屈に思えたが、基本事項の理解が重要な問題が増えているという傾向を感じる。
- 過去問を研究して、基礎知識・周辺知識を整理することが重要。
- 暗記に頼るのではなく、「そもそもこれってどういうこと?」を意識できているかを試されるような問題が増えている気がする。
A問題
110A1 細菌の細胞壁分解能を有するのはどれか。1つ選べ。
a アミラーゼ
b リゾチーム
c デイフェンシン
d ラクトフェリン
e ペルオキシダーゼ
細菌の細胞壁の主な成分は何か、そもそも答えられますか?
ペプチドグリカンです。
ペグチドグリカンの、N-アセチルグルコサミンNAG とN-アセチルムラミン酸NAMの間の結合を切断する酵素がリゾチームです。粘液、唾液、涙、母乳などに分泌されます。卵白にも多く含まれています。
110A5 節足動物が媒介する感染症の病原体はどれか。1つ選べ。
a ノロウイルス
b 狂犬病ウイルス
c デングウイルス
d B型肝炎ウイルス
e インフルエンザウイルス
節足動物には蚊などの昆虫やダニ・クモが含まれますが、蚊が媒介する感染症として近年話題になったのが、デング熱です。通常輸入感染症として海外で感染した人が国内で発症するとされていましたが、数年前には国内で感染が発生した事が騒ぎになりました。病原体はデングウイルスです。病原体と媒介動物の違いを理解しましょう。
蚊が媒介する感染症としては、他にマラリアが有名です。こちらはマラリア原虫が病原体です。
110A9 好中球の貧食活性を高めるのはどれか。1つ選べ。
a IgA
b IgD
c IgE
d IgG
e IgM
食細胞による貪食を促進する効果をオプソニン効果といいます。ギリシャ語でオプソンopsonとは、主食の他のおかずを指すそうです。ふりかけをイメージしたほうがいいかもしれませんが、病原体にオプソニン効果のある成分がかかっていると、食細胞にとって、とっても美味しそうに見えるわけです。補体や、免疫グロブリンではIgGにこの作用があります。実際のところは貪食細胞は、補体レセプターやFcレセプターによって、病原体に張り付いたこれらの成分を認識し、貪食します。
110A10 Avoiding the frequent intake of fermentable carbohydrates,especially sucrose,in diets is important for the ( ) of early childhood caries.
( )に入るのはどれか。1つ選べ。
a treatment
b prevention
c restoration
d development
e decalcification
歯科国試では、英文の問題が必ずひとつ出題されています。基本的ですが、正解率はそんなに高くなく、必修問題であれば合否を左右すると言えます。日頃から、少し英語を意識しているといいでしょう。
110A14 ABO式血液型検査に用いられる反応はどれか。1つ選べ。
a 凝集反応
b 中和反応
c 沈降反応
d 溶解反応
e 補体結合反応
例えば、A型の赤血球にはA抗原が存在し、B抗原は存在しません。そこに抗A抗体をかけると肉眼で分かる凝集が起こります。抗B抗体では起こりません。これにより血液型を判定します。
110A15 全身性の発疹を引き起こす病原体はどれか。1つ選べ。
a EBウイルス
b 麻疹ウイルス
c ロタウイルス
d ムンプスウイルス
(問題としては適切だが、必修問題としては妥当ではないため除外、とされた問題)
多くのウイルスは、感染する相手の細胞が決まっています。これを臓器親和性などと言います。一部のウイルスは、全身に感染することが知られています。麻疹ウイルスが代表です。
来年あたりは、どこに感染するか?という問題がでるかも??
110A17 スタンダードプレコーションで感染性物質として扱わないのはどれか。1つ選ベ。
a 汗
b 涙
c 喀痰
d 唾液
e 鼻汁
汗以外の全ての体液を対象とします。
110A25 放線菌感染で菌塊周囲に多くみられるのはどれか。1つ選べ。
a 好酸球
b 好中球
c 好塩基球
d 肥満細胞
e リンパ球
110A32 ミュータンスレンサ球菌の合成する不溶性グルカンの構成単位はどれか。1つ選べ。
a グルコース
b スクロース
c ガラクトース
d グルコサミン
e フルクトース
グルカンというのは、グルコースの重合体です。繋がり方によって、様々な種類があります。来年はつながり方の問題がでるかも?
110A63 減数分裂がみられる分化過程はどれか。1つ選べ。
a 赤芽球から赤血球
b 精母細胞から精娘細胞
c 前骨芽細胞から骨芽細胞
d 歯乳頭細胞から象牙芽細胞
e 内エナメル上皮細胞からエナメル芽細胞
減数分裂は生殖細胞をつくる過程で起こります。ヒトの場合、染色体数が23対46本から、23本に減ります。こうしてできた精子や卵子といった配偶子が受精して、元の数に戻るわけです。他の選択肢は全て体細胞分裂で、減数は起こりません。
110A71 アシクロビルが奏効するのはどれか。1つ選べ。
a 麻疹
b C型肝炎
c 感染性胃腸炎
d 口唇ヘルペス
e 成人T細胞白血病
これは基本的な知識です。そろそろもう少し突っ込んだことを聞かれるかもしれません。なぜ、アシクロビルはウイルス感染細胞のDNA複製を選択的に阻害するのか?とか。これはチロシンキナーゼがポイントです。
110A73 先天性梅毒患者の臼歯部に生じるのはどれか。1つ選べ。
a 歯内歯
b Turner歯
c Fournier歯
d タウロドント
e Hutchinson歯
へー
79 ウイルスが原因の悪性腫瘍はどれか。2つ選べ。
a 乳頭腫
b 悪性黒色腫
c Burkittリンパ腫
d 慢性骨髄性白血病
e 成人T細胞白血病
これは知っておきましょう。
110A99 核酸合成過程の代謝措抗によって抗腫蕩作用を示すのはどれか。2つ選べ。
a 5-FU
b ゲフィチニブ
c セツキシマブ
d メトトレキサート
e ドセタキセル水和物
核酸ぽい名前です。5フルオロウラシルということで、ウラシルの5位の炭素Cに、フッ素Fがついているのかな、と想像されます。こういう核酸の類似体が混じっていると、核酸の合成がうまくできないと考えます。
マブmAbは普通、抗体monoclonal antibody を表します。マブで終わるのは、抗体薬品だと想像ができます。
110A108 父娘関係の鑑定に用いられるのはどれか。1つ選べ。
a X染色体DNA
b Y染色体DNA
e ミトコンドリアDNA
XYとXX。ミトコンドリアは母系に遺伝する(卵子のミトコンドリアが受精卵に受け継がれる。精子にミトコンドリアがないわけではないが、受精卵には受け継がれないそうだ。その仕組については、面白そうだけど知りません)。
他の選択肢は、生物の系統を解析するのに使われたりするが、同種内では大きく違わないので、親子関係の判定には向かない。
110A120 血中βーグルカン値が診断に用いられるのはどれか。1つ選べ。
a B型肝炎
b 帯状疱疹
c 深在性真菌症
e 化膿レンサ球菌感染症
これぞ、過去問の研究が問われている問題。
C問題
110C2 単一遺伝子病に関連するのはどれか。1つ選べ。
a 染色体数の異常
b メンデル遺伝形式
c 常染色体の構造異常
d 性染色体の構造異常
e 胎生期ウイルス感染
(問題としては適切だが、必修問題としては妥当ではないため、除外された問題)
染色体の数や構造の以上は、多くの遺伝子が影響を受けると考える。単一遺伝子の遺伝は、メンデルの法則に従う。ウイルス感染は遺伝子病ではない。
110C10 Actinomyces viscosusの特徴はどれか。1つ選べ。
a 芽胞形成能
b 線毛の存在
c 偏性嫌気性
d 黒色色素産生性
e リポ多糖の存在
(問題としては適切だが、必修問題としては妥当ではないため、除外)
まず、Actinomyces属はグラム陽性の桿菌です。
おさえておかなければいけない基本事項は、、
芽胞形成するのは、Baccilus属と Clostridium属。
黒色色素産生は、Porphyromonas属や Prevotella属の歯周病原菌が代表的。
リポ多糖(LPS)は、グラム陰性菌が持つもの。
残るはbとcですが、多くのActinomces属は通性嫌気性なので、正解は、bなのかな?たぶん、、
110C16 B型肝炎ウイルスの感染予防に有効な消毒薬はどれか。1つ選べ。
a ポビドンヨード
b 消毒用エタノール
c 塩化ベンザルコニウム
e グルコン酸クロルヘキシジン
B型肝炎ウイルスって、病原体の中でも消毒に対する抵抗性が強い部類のようです。この中でB型肝炎に有効とされるのは、、、?
110C20 F. Crickとともに図に示すモデルを提唱したのはどれか。1つ選べ。
a P. Curie
b K. Mullis
c J. Watson
d F. Sanger
e W. Gilbert
これは一般常識的な有名人です。DNAの二重らせん中の相補的な塩基対のことを、「ワトソン-クリック塩基対」と言ったりもします。
110C24 院内感染対策で正しいのはどれか。1つ選べ。
a 外国感染は対象としない。
b 病院スタッフは対象外である。
c 消毒・滅菌は対策の一つである。
d 抗菌薬の使用方法とは無関係である。
e 一般社会環境と同様の対策をとることが望ましい。
院内で感染を拡大させないために必要なことは??と考えれば正解できそうです。病院スタッフも対象となります。
eについては、院内には高齢者などの易感染性宿主も居ますので、一般環境と同じという訳にはいかないと考えます。
d 抗菌薬の乱用により、耐性菌が増加・感染拡大する危険があるので、無関係ではありません。
110C57 手足口病の病原体はどれか。1つ選べ。
a アデノウイルス
b エンテロウイルス
c 単純疱疹ウイルス
d ムンプスウイルス
e 水痘・帯状疱疹ウイルス
これは基本的な知識です。
110C61 正常組織像(別冊No.11)を別に示す。Sjögren症候群と関連するのはどれか。1つ選べ。
a ア
b イ
c ウ
d エ
e オ
唾液腺ってことでしょうか?
110C72 自己抗体が関与するのはどれか。1つ選べ。
a 2型糖尿病
b 重症筋無力症
c 接触性皮膚炎
d DiGeorge症候群
e 重症複合免疫不全症
(アレルギー性)接触性皮膚炎は、Ⅳ型アレルギーに分類され、T細胞が炎症誘導に役割を果たす、特定の抗原に対する炎症である。自己抗体は関係ない。
重症筋無力症は、末梢神経と筋肉のつなぎ目の筋肉側の受容体などが自己抗体により破壊されることで、筋肉を動かす信号が伝わらないことが原因と考えられています。
DiGeorge症候群は、染色体欠失により胸腺形正が不十分となり、正常なT細胞のプールができない状態です。
重症複合免疫不全症にはいろいろなパターンがありますが、遺伝子の変異などにより免疫機能に重大な欠陥が生じた状態です。自己抗体は関係ありません。
110C82 抗菌薬感受性を測定する方法はどれか。2つ選べ。
a ディスク法
b Ouchterlony法
c 微量液体希釈法
e Polymerase Chain Reaction (PCR)法
ディスク法は、抗菌薬の染み込んだろ紙を平板培地におくことで、対象となる微生物の抗菌薬に対する感受性を判定します。
Ouchterlony法は、抗原と抗体を寒天にあけた別々の孔から拡散させ、沈降線により結合の仕方を判定します。
(微量)液体希釈法は、分かりにくいですがここでは、培養液中で抗菌薬を段階希釈した系列をつくり、どの濃度まで微生物が増殖できるかを判定することで、最小発育阻止濃度MICを測定できる方法を指すと考えられます。
ELISAは抗原抗体反応を利用した、特定のタンパク質の存在の判定などに用いる方法です。
PCRは、言わずと知れた、DNAの増幅法です。
このような、生命科学の実験手法に関する出題も時々あります。基本的な原理を知っておきましょう。他に、ウエスタンブロット、サザンブロット、SDS-PAGE、アガロースゲル電気泳動などが基本的でしょうか。
110C99 遺伝子再構成で多様性を獲得するのはどれか。2つ選べ。
a B細胞
b T細胞
c NK細胞
d 樹状細胞
e 肥満細胞
普通、生殖細胞を除く体細胞は全て受精卵と同じゲノム配列を持っていますが、B細胞とT細胞だけは、それぞれの抗原を認識するB細胞受容体(免疫グロブリン)とT細胞受容体(TCR)の遺伝子のV(D)J組み換えが起こることで、無数の抗原に対応できるようになります。免疫グロブリン遺伝子の組み換えがおこること示してノーベル賞を受賞したのが利根川進博士です。近いうちに、人名問題ででるかも??
110C102 白血球の細胞膜の構造を傷害する毒素を産生するのはどれか。1つ選べ。
a Tannerella forsythia
b Treponema denticola
c Fusobacterium nucleatum
d Porphyromonas gingivalis
e Aggregatibacter actinomycetemcomitans
これは知識問題です。eが、ロイコトリエンという毒素を産生します。
(leukocyte = 白血球)
110C113 原虫感染症はどれか。1つ選べ。
a オウム病
b 日本紅斑熱
c ハンセン病
d アスペルギルス症
e トキソプラズマ症
原虫とはなにか?原虫による感染症にはどのようなものがあるか?
毎年聞かれるわけではありませんが、病原体の分類の基本です。
以上、微生物・免疫学に関する問題の解説でした。
やはり、あまり重箱の隅のような問題は少なく、基本を理解しているか、が問われていると思います。こういう問題を確実に正解していくことが、合格につながります。
↓2018年 第111回歯科医師国家試験の予想問題はこちら。あたる確率は低めです。
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予想問題 2017年 歯科衛生士国家試験(微生物・免疫学分野)
私のメモが確かなら、、、2017年3月5日は第27回歯科衛生士国家試験です。
ここでは、主に微生物学・免疫学分野の出題予想問題をとりあげたいと思います。予想と言っても、最近の他の医療系国家試験問題などから拾ってきたものがメインになります。
なかでも歯科衛生士の国試には、過去の歯科医師国家試験を参考にしたと思われる問題はよく出ますので、そのあたりは特に注目する必要がありそうです。
逆に衛生士→歯科医師国試のパターンもあります。
では、問題にいきます。
免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。
2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。
歯科衛生士国家試験 2016年
(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
この問題は、二段階に読み解く必要があります。
まず図から、
・これは免疫グロブリンの五量体である。
↓
・五量体をつくるのはIgMである。
↓
・IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?
という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。
単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。
単発の知識ではなく、考える力が問われます。
※これをもとにした予想問題を作ってみます。
免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
これだとどうですか??
ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンはどれ??そしてその特徴は??
(3.の選択肢は、「分泌型が存在する」となっていると、もう少し簡単かもしれません。(簡単すぎる?))
次に、
臨床検査技師国家試験 2016年
80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。
1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤
ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。
歯科衛生士の国家試験でも免疫グロブリンの種類と機能は頻出ですが、マンネリ気味なので、こんな感じの新しい問題が出そうと予想します。
消毒薬の希釈に必要な液量を問う問題
3倍希釈の麺つゆを薄めたりすることがあると思うので、考えれば分かりそうなものですが、なかなか最近の大学生に聞いても正解できない人が多いです。昨年歯科衛生士国家試験で出題されましたが、似たような計算問題が今後もでそうです。。
歯科衛生士国家試験(2016年)
(午後97)床やスピットンに散った血液の消毒に6%次亜塩素酸ナトリウム液を希釈して0.5%液を600mL作ることにした。
6%次亜塩素酸ナトリウム液は何mL必要か。
- 25 mL
- 50 mL
- 75 mL
- 100 mL
看護師国家試験(2015年)
90. 5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくる
のに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入すること。
解答:①②mL
<計算問題:2桁の数字をマークシートで答える問題です>
↓考え方をやや詳しく書いています。
感染症の流行時期を問う問題
2016年の医師国家試験の問題で、おもしろい問題がありました。詳しくはリンクをご覧ください。これも初めて見ると戸惑うかもしれませんが、考えると一般常識で答えられる問題です。こんな感じのも出るかもしれません。
医師国家試験(2016年)
110B25 あるウイルス性疾患の我が国における月別発生数の傾向を示す。
この疾患はどれか。
a 水痘
b B型肝炎
c デング熱
d インフルエンザ
詳しい解説はこちら↓
直近の歯科医師国家試験からの類似問題が出題される傾向があるということで、2016年の問題からいくつか取りあげます。2017年の歯科医師国家試験はまだ詳しく見ていませんが、出題には間に合わないのでいいでしょう。
昨年2016年の歯科医師国家試験問題はこちら↓。
歯科医師国家試験(2016年)
(109C4) CD4 陽性T細胞の減少を引き起こすのはどれか。1つ選べ。
<超超基本問題です!「T細胞に感染するウイルス」が答えられるとよいです。わかりますよね??>
----------------------------------------------------------------------
<追記:この問題、ほぼ的中していました!実際の問題はこちら↓
※※ 2017午前9
エイズの発生機序に関与するのはどれか。
a. 自己抗体の産生
b. IgE抗体の産生
c. 補体依存性細胞傷害
d. ヘルパーT細胞の減少
>
kogumakita.hatenablog.jp---------------------------------------------------------------------------
(109C16) スタンダードプレコーションで誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 全ての患者に適用される。
- 米国CDCが提唱したものである。
- 再使用する器具は洗浄・滅菌をする。
- 傷のある皮膚を扱う際にも適用される。
- 特定の病原体ごとに決められた予防策である。
<標準予防策とは、病原体を特定せずに、全ての可能性のある病原体に対して最低限の共通した予防策です。よって、誤っているのは5.です。>
(109C46) 回帰発症によるものはどれか。1つ選べ。
<「回帰発症」というのはヘルペスウイルス感染症の特徴で、一度かかったあとに潜伏していたウイルスが、免疫低下時などに増殖して再び発症します。単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスや、水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹などがこの回帰発症にあたります。よって、答えは3.。
1.水痘は違うの??と思った人はするどいです。水痘・帯状疱疹ウイルスというのはひとつのウイルスなのですが、初感染では水痘の症状を起こし、潜伏後の回帰発症で帯状疱疹を起こします。なので、水痘は回帰発症には当たらないという考え方が必要です。「帯状疱疹」が選択肢にあれば、これも正解になるはずです。
あと、ヘルペスウイルスに効く抗ヘルペスウイルス薬として、アシクロビルは当然知っておく必要があります。>
今年2017年の歯科医師国家試験の予想問題も参考にしてください↓(ただし、あまり当たってない)。
その他、一部重複がありますが、こちらも練習問題として使える問題が含まれています↓。
それでは、試験がんばってください!
これからの国家試験は思考力を問う問題が増えるに!
たぶん医師国家試験むけの塾や、国試過去問のデータベースを運営しているmedu4という組織があります。代表の穂澄さんという若い方が、youtubeなどにも動画をあげていて、熱心に指導されている熱意に感心します。
このような、若い熱心な先生が国家試験受験の指導をするというのは、一昔前、私が大学生だった頃の伊藤真先生の司法試験塾を思いだします。新しい世代の考え方で、あたらしい専門家を育てようという熱意を感じます。単に、国家試験に合格させればそれでいい、という考え方では決してないと思います。
それはさておき、私も医師国家試験問題の情報収集にとても参考にさせていただいているのですが、medu4から今年2017年の111回医師国家試験の総評が発表されていました。その中で、なるほどと思った興味深い分析がありましたので、引用します。
今回の国家試験でも、思考力を問う問題が増加傾向だということです。
”80回台までの国試は暗記力であった。90回台までの国試はパターン力であった。100回台までの国試は病態生理であった。病態生理が重要であることはいつの時代も変わらないが、既に相当数の受験生に浸透しておりもはや差をつけない。断言しよう、110回台の国試は思考力が合否を分ける。”(medu4)
"思考力は当然ながら一朝一夕では身につかない。また、日頃から考える習慣を付けておかねば一向に磨かれない。「とりあえず覚えよう」「ノートに書いてあるはずだ」といった安直な習慣に終止符を打つこと。これは医師になってからも重要だ。"(medu4)
(引用文の書き方が分からないので、ベタでコピーしただけです。)
昨今の教育現場でも、以下に学生に思考してもらうかがテーマに成っているように思います。医師国家試験の難しい臨床問題にかぎらずとも、いろんな国家試験問題をみていると、たしかに思考力が必要な問題は増えています。レベルはそんなに高くないですが、単純に1つの知識を問うのではなく、2つの知識を組合せて、二段階に考えて答える事が必要な問題があったりします。そういう意味では、どのレベルでも、下の学年で基礎を学ぶときから思考して、理解しながら学習を進めてほしいと願います。
以上
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予想問題 2017年 看護師・臨床検査技師・薬剤師国家試験(微生物・免疫分野)
私のメモが確かなら、2017年、、、
2月19日は看護師国家試験(106回)、
2月22日に臨床検査技師国家試験(63回)、
2月25日と26日は薬剤師国家試験(102回)です。
(それぞれの受験者数は順に、約6万人、約4千人、約1.5万人ほどのようです。)
そこで、極めて大雑把で申し訳ないのですが、この3つの試験を対象に簡単に微生物・免疫(と生物?)の予想問題・対策問題を掲載したいと思います。
主に過去の各国家試験の問題を集めただけですので、見たことある問題も含まれると思いますが、ウォーミングアップのつもりで気楽に目を通していただけるとよいかもしれません。各国家試験に独特の問題はあまり取り上げず、どれに出ても良さそうな、共通した基本問題がメインとなります。
それと、先日行われた歯科医師国家試験の際には多少力をいれた対策問題集をつくりましたので、そちらも参考にしてください(ただし、ほとんど的中してない)。 kogumakita.hatenablog.jp
歯科医師国家試験の予想でも取りあげましたが、免疫グロブリンの問題は再度書いておきます。
免疫グロブリンに関する図を理解して、答える問題。
2016年の歯科衛生士国家試験に良い問題がありました。
歯科衛生士国家試験 2016年
(午前12)免疫グロブリンの図を示す。この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で血清中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
この問題は、二段階に読み解く必要があります。
まず図から、
・これは免疫グロブリンの五量体である。
↓
・五量体をつくるのはIgMである。
↓
・IgMの機能として、選択肢の中で正しいのはどれか?
という順で思考する必要があります。答えは自ずと、「2」になりますね。
単純ですが、二段階に関連付けて答える必要がある、良問です。
単発の知識ではなく、考える力が問われます。
※これをもとにした予想問題を作ってみます。
図:(想像してください)Y字型の免疫グロブリンが2つつながった絵
この免疫グロブリンの特徴はどれか。
- 胎盤通過性がある。
- 抗原感作後に最も早く出現する。
- 免疫グロブリンの中で唾液中に最も多い。
- アナフィラキシーショック型アレルギーの原因となる。
これだとどうですか??
ヒント:二量体をつくる免疫グロブリンは??
次に、
臨床検査技師国家試験 2016年
80 次の模式図においてIgG濃度の変化を示すのはどれか。
1.① 2.② 3.③ 4.④ 5.⑤
ポイントは、IgGは胎盤通過性がある、ということです。言葉では覚えているけど、それをグラフで表現するとどうなりますか??
単純なことが問われているが、グラフを読み取って考える必要がある良問です。ちなみに、看護師国家試験で数年前に似た問題がでていました。それを焼き直した問題といえます。
さて、ここからそれぞれの過去問の中から、お互いの試験に出そうな問題を取り上げます(一部関係ありませんが)。
看護師国家試験 2015年
90
5 %のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて 0.2 %希釈液 2,000 mL をつくるのに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第 1 位を四捨五入す
ること。
解答:①②mL
<これ、いい問題です。というか、小学生でもできるはずですが、近頃は大学生でも苦手な人もいる問題です。解説は下をどうぞ。最近、いろんな国家試験でこの手の計算問題でてます。>
看護師国家試験 2012年 ちょっと飛んで数年前の問題です。
午前37 日本国内から排除されておらず、ワクチンの2回接種を推進している感染症はどれか。
1.麻疹 measles
2.破傷風 tetanus
3.ジフテリア diphtheria
4.急性灰白髄炎 Poliomyelitis
<これは、どうでしょう。ポリオはほぼ排除されたに近いようですが、、破傷風とジフテリアは混合ワクチンで同時に接種するはずなので、この2つは正解からはずれます(これが2回接種とすると、正解が2つ以上になってしまう)。それに、実際は3回か4回接種だったと思います。ということは、正解は1の麻疹なのでしょうね。>
この問題は置いておいて、ここから触発されて、オリジナル問題を考えました。
*四種混合ワクチンの対象に含まれる感染症はどれか。
1.麻疹
2.結核
3.B型肝炎
4.急性灰白髄炎
<これだと、どうでしょう。
・実は、従来のDPT三種混合ワクチンが、確か2012年から、不活化ポリオワクチンを加えて四種混合ワクチン(DPT-IPV)になりました。それまではポリオの生ワクチンが使用されていましたが(ここから、ポリオは経口感染するとわかる)、安全性と効果のバランスなどから不活化ワクチンに変更となったのです。
・また、2016年から、それまで任意だったB型肝炎ワクチンが定期接種化されました。こちらは現在単独接種です。
・ということで、答えは4です。このあたりの最近のワクチン事情が出題されませんかね?ちょっと早いかな?>
<追記:2017年の薬剤師国家試験の問237の正答選択肢で、ポリオワクチンが四種混合ワクチンに含まれていることを問う問題が出題されていました!いちおう的中と言えます!>
次いきます。
臨床検査技師国家試験 2016年
59 胸腺で行われるのはどれか。
1.単球の分化
2.好中球の産生
3.Tリンパ球の成熟
4.B リンパ球の成熟
5.老化赤血球の処理
<胸腺はThymus。ここで分化するところからT細胞と呼ばれているはずです。>
73 結核と同じ感染経路別予防策が必要な疾患はどれか。
1.水痘
2.梅毒
3.風疹
4.コレラ
5.デング熱
<結核は空気(飛沫核)感染します。空気感染する代表的な感染症は、結核・水痘・麻疹です。>
<追記:2017年の薬剤師国家試験の問233で、陰圧室に患者を収容する必要がある感染症を問う問題が出題されました!いちおう的中!>
午後68 ウイルスとクラミジアに共通する特徴はどれか。
1.二分裂で増殖する。
2.リボソームを有する。
3.抗生物質に感受性がある。
4.光学顕微鏡で観察できる。
5.増殖には生きた細胞が必要である。
<これ、単純ですが、いい問題ですね。まず、ウイルスとクラミジアは共通して、「偏性細胞内寄生体」です。それを意味する性質を答えればよいです。>
臨床検査技師 2013年
午後67 減数分裂を行う細胞はどれか。
1.精母細胞
2.前赤芽球
3.骨髄芽球
4.破骨細胞
5.骨髄巨核芽球
<まあ、そのままですが、減数分裂は生殖細胞をつくるときに起こります。>
次に行きます。
薬剤師国家試験 2016年
問86 熱に不安定な薬物の水溶液を滅菌するのに最も適した方法はどれか。1つ選べ。
1 高圧蒸気滅菌
2 乾熱滅菌
3 ろ過滅菌
4 高周波滅菌
5 ガス滅菌
<滅菌原理の基本が分かっているか問われます。熱をかけられないので細かいフィルターで濾過します。抗菌薬とかはだいたいこうするのではないでしょうか。他に血清など。>
薬剤師国家試験 2015年
問15 細菌の内毒素(エンドトキシン)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。
1 グラム陰性菌外膜の成分である。
2 主成分はタンパク質である。
3 外毒素に比べ、加熱処理に対して安定である。
4 細菌の種類により、構造的な多様性がある。
5 宿主の免疫反応をかく乱し、ショック症状をおこす。
<この問題、いいですね。多少考えないといけません。まあ内毒素と外毒素の違いが整理できていれば答えられます。内毒素はリポ多糖なので、タンパク質ではありません。外毒素はタンパク質です。>
薬剤師国家試験 2014年
問39 ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬はどれか。1つ選べ。
1 アシクロビル
2 アマンタジン
3 オセルタミビル
4 リトナビル
5 ガンシクロビル
<現在インフルエンザ流行中だし、でるかも。ノイラミニダーゼ阻害薬はオセルタミビルやザナミビル、最近はラニナミビルなどありますね。アマンタジンは、抗インフルエンザ薬ですが、ノイラミニダーゼ阻害薬ではありません。アシクロビル、ガンシクロビルは、抗ヘルペス薬です。リトナビルは、抗レトロウイルス薬だそうです。>
以上、予想問題というほどのこともないですが、おたがい参考になればと思います。
では、受験生の成功を祈ります!